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2026年6月29日

青い耳飾りの少女

 

 

大阪梅田の駅のコンコースで、マウリッツハイス博物館展の大きな広告がありました。

 

フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」です。

 

 

 

「なぜ世界は、この少女に心を奪われるのか」とあります。

 

 

 

この絵が人を引き付ける一番の理由は、こちらを見ているのに、何を考えているのか分からないところだと思います。

 

振り返った瞬間の少女。少し開いた唇。こちらに向けられた目。

 

でも、微笑んでいるのか、驚いているのか、話しかけようとしているのか、何かを言い残して去ろうとしているのか、決めきれません。

 

 

 

 

その「分からなさ」が、見る人の心を絵の中に引き込みます。

 

 

 

 

もう一つ大きいのは、余計なものがほとんど描かれていないことです。背景は暗く、家具も窓も物語を示す道具もありません。だから見る人は、少女の顔、目、唇、青と黄色のターバン、そして真珠だけに集中します。物語を描き込まないことで、逆に見る側が物語を作りたくなるのです。

 

 

 

フェルメールらしい光の扱いも大きな魅力です。マウリッツハイスは、柔らかな光が少女の顔に当たり、目と真珠を輝かせている点を紹介しています。 真珠は細密に描き込まれているというより、光の点と影で「そこにある」と感じさせる。これは本当にすごい技術です。

 

 

そして、この絵には名前がない。誰なのか、どこにいるのか、なぜこちらを向いたのかも分からない。だからこそ、時代や国を超えて、誰もが自分なりに受け取れます。

 

 

言い換えると、この絵の魅力は、「完成されているのに、説明しきらないこと」にあるのだと思います。

 

 

 

美しさ、静けさ、謎、親密さ。

 

 

 

そのすべてが、ほんの一瞬の振り返りの中に閉じ込められている。

 

だから何度見ても、「もう少し見ていたい」と思わせるのではないでしょうか。

 

 

 

 

  • プロフィール

    高石工業株式会社 代表取締役 高石秀之

    高石工業株式会社 代表取締役
    高石秀之

    ゴム精密部品の量産事業をはじめとして、ゴム精密部品の試作・研究開発に取り組んでいる。

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