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2020年05月25日

水素とゴムの話(1)-ブリスタ破壊とはみ出し破壊-

私たちの会社では高圧水素用のOリングを開発しています。今では、多くの水素ステーションで採用され、使用用途が広まりつつあります。

 

 

高圧水素環境下でゴムパッキンを使った場合によく言われるのが、

「ブリスタ破壊」と「はみ出し破壊」です。

 

 

 

 

○ブリスタ破壊 

01水素入り込む図

 

 

 

 

  

 

 

高圧水素ガスに曝されたゴムパッキンには、

どんどん水素が貯めこまれていきます。

 

  02き裂発生する図

 

 

 

 

 

 

 

その後脱圧すると水素は外部に出ようとします。
その時内部に気泡が発生し、き裂になることがあります。

き裂が進展するとゴムパッキンの破壊に至ります。
これがブリスタ破壊現象です。

 

 

 

 

 

Exif_JPEG_PICTURE 04ブリスタ拡大図 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は試験用の配合で水素曝露したEPDMのOリングです。
拡大写真をご覧いただくと、表面が内側から裂けている様子がわかるかと思います。

 

 

 

 

 

05ブリスタ断面図

 

 

 

 

 

  

 

 

この写真は別の試験片の断面です。
表面まで亀裂が達しておらず、内部のみ裂けている部分があるのがわかるかと思います(赤丸部)。

 

 

 

このように、外見だけではブリスタ破壊が起きているかどうか判別できないときがあります。
よって、Oリングは外見だけでなく断面の観察も行い、ブリスタ破壊が起きていないか確認をします。

 

 

 

 

 

○はみ出し破壊

 

 

 

06はみ出し前図

 

 

  

  

 

これはOリングのシール構造の断面図です。

 

高圧水素ガスに曝されたOリングには、どんどん水素が貯めこまれていきます。

  

  

 

 

 07はみ出し破壊図

 

  

   

  

 

 

 

  

その後Oリングは水素により膨潤していきます。

水素の侵入により体積は膨張し、溝からはみ出すことになります。

はみ出たOリングはいずれ破壊に至ります。これが「はみ出し破壊現象」です。

 

 

 

 

 Exif_JPEG_PICTURE 09はみ出し破壊拡大図

 

 

 

     

 

 

 

 

写真は試験用の配合で水素曝露したEPDMのOリングです。
拡大写真のOリングのパーティングラインの上あたりが
ひげのようにはみ出ているのがわかると思います。

 

 

私たちが実施している試験は90MPaで行うことが多く、
水素の浸入に圧力の加減圧による負荷も加味されて複合的に破壊されることが
一般的です。

 

 

 

高圧水素でゴムパッキンを使用する場合、
これらの破壊を極力抑えることが課題となります。

 

 

 

 

 

次回はこの課題へのアプローチの話をします。

 

 

 

 

Ref: 村上敬宜,松岡三郎,近藤良之,西村伸,

「水素脆化メカニズムと水素聞き強度設計の考え方」第14章,養賢堂(東京),(2012)

カテゴリー:水素とゴムの話
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