こんにちは。ゴム伝道師兼ベトナム研究家の高石純二です。
ベトナム、ホーチミンに弊社工場がありまして、私は5年前から年に8~9回、10日程度ずつ出張しており、それなりにベトナムについての知見を得ましたので、数回に分けてベトナムについてご紹介していきたいと思います。
○社会主義国家
基本的な話ですが、ベトナムは共産党による社会主義国家です。
そう説明すると身構える方もいらっしゃるかと思いますが、実際に行ってみると、他の社会主義国家と比べてかなり印象は異なります。ゆるい社会主義国家との表現があっているかと思います。
首都のハノイは確かに社会主義国家を思わせる光景も見ますが、ホーチミンに関しては言われない限りは社会主義国家とは気づかない観光客も多いのではないかと思います。
他の社会主義国家と何が違うかというと、監視や暴力によって、国民が国に抑圧されているところを直接見聞きしたことは今までありません。
ハノイの街は確かに社会主義国家を感じさせる雰囲気がありますが、ホーチミンでは、街の雰囲気からして解放感・活気に満ち溢れており、抑圧感はゼロです。
ただ、もちろん共産党の一党独裁ですし、政府の悪口を言うと捕まるそうです。
また、新型コロナウィルスの対応では社会主義国家の優位性をいかんなく発揮しており、この原稿を書いている、2021年2月5日時点で累計感染者数が1957人、死者数は35人と、世界で2番目にコロナウィルスの封じ込めに成功している国だそうです(1位はニュージーランド、日本は45位)。
早い段階での中国からの入国を禁止、続いてその他の国からの入国を禁止、社会的隔離(ロックダウンに近い措置)、(強制的に)携帯電話への国からの新型コロナウィルス対策の注意メール送信、マンションで一人感染者が出たらマンションごと封鎖、会社で感染者が出たら濃厚接触者及びその家族の隔離等々、最初に聞いたときはびっくりした内容もありますが、今となっては納得の措置を実施しました。
SARSがベトナムで流行した際の経験と、自国の医療レベルを理解していたというのはあると思いますが、民主主義国家である日本では到底できない内容とスピードでベトナムが対応しているのを知っていたため、日本国内の感染者が増える中、なかなか徹底的な対応に踏み切れなかった日本を、本当にもどかしく感じていました。
もちろん、たちの悪い独裁者が出てきた場合の恐ろしさや、私の知らないところで社会主義国家のデメリットも沢山あるのでしょうが、社会主義国家が良いか悪いかということは別にして、社会主義国家として成功している(国民を抑え込んでいるという意味ではない)数少ない国家ではないでしょうか。