私は10年前に先代から事業を継承しました。
2006年6月に私が社長になって、父親が会長になりました。
その一年半あとに開腹手術をしました。
これはなぜかというと、親が肝臓が悪かったためです。
先代は若い時分にC型肝炎をもらってきて、肝炎から肝硬変になって肝がんになるという進行パターンでした。
私が事業を受け継いで一年くらいで、もう肝臓を移植しないといけない、生体肝移植しかないということになりました。
ドナーをどうするということになった時に、長男だし今まで育ててもらったから、「じゃあ、僕の肝臓をあげるよ」となりました。
まあちょっとカッコいいかなと思って、言っちゃったんですけれども(^^;
それで、親子で肝臓を移植しましょうという話になりました。
私はドナーなのでいろいろ調べてもらうんですね、CTとかMRIとかエコーとか。
そうすると、肝臓はいいんですけれども・・・膵臓に影が見つかりました。
膵臓というのは体の真ん中にあって異常がちょっと見つけにくいんです。
その当時私は35歳で、影が微妙な大きさで、これが腫瘍なら今のうちに取っておかないと本当にヤバいということで、おなかを開いて取ることになりました。
実際にとってみると腫瘍ではありませんでした。
血が固まっているのが膵臓に飛んできているようなものでして、幸いにも腫瘍ではなかったんです。
本当に幸運でした。本物の腫瘍だったら今頃この世にはいないでしょう。
健康体だったんですけれど膵臓を三分の一と脾臓を全部摘出して、今でもおなかに25針くらい縫った跡があります。
結局、手術前後で都合3か月くらい入院していました。
当然その間は寝たきりです。
社長になって一年半くらいたっていましたので、私がいないと会社が回らないなと思っていました。
けれども現場のスタッフとか会社の人がみんな頑張って、てんやわんやしながら仕事を回してくれていたんですよね。
そういうことがありまして、非常にありがたいなと感謝しました。
自分のできることは小さいけれど、皆さんが仕事をしやすいように頑張ろう、環境を整えたり、いい会社にしていくのが私の役目なんだと再認識しました。
そのころから私は感謝の念はずっと持ち続けています。
こういう転機があるからこそ、気づくことがあるんだな、と思っています。