10月8日は、「水素の日」です。
水素について考えるのにぴったりの日です。
その理由は、水素の原子量が約「1.008」だからです。
この数字にちなんで、海外では10月8日を「水素・燃料電池の日」として、水素や燃料電池について考える機会としています。
そこで今回は、水素社会の「今」について考えてみたいと思います。
10年ほど前、水素は「未来のエネルギー」として大きな期待を集めていました。
水素ステーションが各地にでき、燃料電池車(FCV)が走り、水素をエネルギーとして使う社会がやってくる。
そんな未来が描かれていました。
では、実際にはどうなっているのでしょうか。
世界では現在、年間1億トンを超える水素が使われています。
ただし、その多くは石油精製や化学、肥料製造など、以前から水素を使ってきた産業です。
一方、再生可能エネルギーなどを活用してつくられる低排出水素は、まだ全体のごく一部です。
自動車についても、乗用車ではEV(電気自動車)が大きく普及した一方、FCVは当初期待されたほどには増えていません。
水素ステーションについても、全国どこにでもあるという状況にはなっていません。
つまり、私たちが10年ほど前に想像していた「水素社会」が、そのままの形で実現しているわけではありません。
しかし、だからといって「水素は終わった」ということでもありません。
むしろ今、水素の使い方が現実的になってきたのではないでしょうか。
「何でも水素」ではなく、
「電気が得意なところは電気、水素が得意なところは水素」という感じです。
特に、大型トラックやバス、製鉄、化学、船舶、エネルギー貯蔵など、電気だけでは脱炭素が難しい分野では、水素への期待が続いています。
水素社会は、一気に広がる「夢」の段階から、本当に水素が必要な場所を見極める「実装」へ移行の段階かもしれません。
今、そんな転換点にあるのではないかと思っています。







