「日本で一番大切にしたい会社」にも取り上げられている、島根県の「中村ブレイス」さんを訪問しました。
中村ブレイスさんは大阪から車で約5時間、世界遺産の「石見銀山」がある島根県大田市大森町にあります。
http://www.nakamura-brace.co.jp/
石見銀山・大森町には数年前に観光で来たことがあります。その頃は石見銀山が世界遺産に認定されてしばらくしたころでした。観光でしたので、中村ブレイス様の名前も知らず、会社の前に来ても「へぇ」としか思っていませんでした。
その後「日本で一番大切にしたい会社」を読んでこの会社の事を知り、驚いたのを覚えています。
中村ブレイスさんは義手・義肢・人工乳房・足底のクッション・膝や頭部のガード等を作られています。
今回はご多忙中にもかかわらず中村社長のお話を伺うことができました。お話を伺って、お人柄と情熱、そして人のためになることへの深い愛情を感じました。京都での先生に言われた「君は幸せだなあ」という言葉、アメリカでの偶然の出会いの数々・・・「ラッキーだった」「偶然の縁のつながり」を繰り返しておられましたが、縁を引き寄せたのはほかならぬ中村社長の「素直」なお気持ちなのではないかと思いました。
その後、工場を見学させていただきました。
明るく雰囲気のいい、気持ちの良い職場でした。働いている方々のイキイキとした表情、自然な挨拶。それに表示・見える化・机の高さ。働く人の負担軽減などの工夫も随所に見られました。
一人ひとりの患者さんに合わせたオーダーメイド。「使う人の身になって」を実感できるひとけずり、ひと縫い。目の前にいない人のために少しでもいいものを使ってもらおうと全力を尽くしておられる姿を目のあたりにして、グッとくるものがありました。
中村社長の思いが現場で働いておられる方々の一人ひとりにいきわたっているからこそ、「think」のスローガンの通り、このような患者さんのためにより良いものを、という気持ちが伝わる職場になっているのだと感じました。
見学を通して、改めて「人財」という言葉を思い出しました。こういっては失礼ですが、オートメーション化された全自動の機械ラインなどは見当たりませんでした。思いと価値を作り出していくものは機械ではなく「人」であると再認識しました。機械や材料は買ってくればいいものですが、人はそうはいきません。70人のスタッフの一人ひとりが思いを共有して、「少しでもいいものを」「喜んでもらいたい」と思って意識を高く持つからこそ、「世界」を相手に商売ができる「オンリーワン」の存在になっておられるのではないかと思いました。
帰ってから改めて中村社長の著書を読み直しましたが、やはり社長の思いが凝縮されていました。訪問時に伺った言葉と寸分の狂いもなく、軸のぶれない思いと行動を感じることができました。やさしい会社になる為には思いの強い会社でなければいけない。「ブレイス」=「支える」という言葉の意味を体現されています。患者を支え、社員を支え、地域を支えることは「相手良し、世間よし、自分良し」の「三方よし」そのものでした。
このたびは本当に幸せな見学でした。同じ「ものづくり」に携わっている身として、これから私達も「思い」を胸にお客様も地域もスタッフも幸せになれる会社を目指していきたいと思います。