「奇跡の会社」 那波和夫 著
多くの人々に「奇跡の会社」と呼ばれる「株式会社障がい者つくし更生会」が行っていることを、同社経営者の那波和夫さんが初めて執筆した本です。
「日本でいちばん大切にしたい会社」のシリーズを通してこのつくし更生会さんのことは知っていました。その本の中では創業者の小早川さんの苦労話に焦点を当てて書かれていました。こちらの本ではその話を引き継ぐ形で、さらに濃密にして「つくし」さんの今を、現在進行形でありのままに見せていただいた、そんな一冊でした。
お客様に選ばれ続けるために会社の「価値」を高めるためにどれほどのことをしているのか、「甘え」を捨ててどのように作り上げてきたのか、戦略だけでなく、目標を持ち行動があってこそ、地道な積み重ねがあってこそ。人と時間をかけてあえて手間のかかる仕事を行い、しかもそれで利益を残す。並大抵のことではありません。創立して40年も続いているということ自体が奇跡と呼ぶべきもので、読めば読むほど深い感動に包まれます。
「自分で答えを見つけないと本当の力にはならない」
という言葉が「おわりに」に書いてあります。ここにエッセンスが集約されていると感じました。
この仕事は何のためにやるのか、この仕事にどんな価値があるのか。それを働く一人ひとりが自問自答を繰り返す企業風土が醸成されているから、「価値」を生み出すことができる。
本書を読むと「納得」「とことん」「前向き」「プラス」「目的」「向き合う」「できること」「どう生かすか」「成長のために」「必要なことは」「当事者の意思」など、様々な言葉がぐるぐると頭の中を回ります。わかっていてもなかなか出来ないことを、どんな人に対しても当たり前にたゆまず行ってこそ、このような会社が存在するのでしょう。
まさに「奇跡」と呼ぶにふさわしい内容でした。
素晴らしい一冊です。