先日、エーワン精密の山梨工場を見学しました。エーワン精密さんはカム・コレットチャックの製造、切削工具の再研磨をされているメーカーで、約40年にわたり利益率35%以上あげておられる「驚異の中小企業」です。その秘訣は「超短納期」で、小ロット・特注品も含め、当日午後3時までに受けた注文は即日発送するという早さです。半年ほど前に「カンブリア宮殿」で取り上げられたのでご存知の方もいらっしゃると思います。「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれています。
私もたまたま1年半ほど前に創業者で現相談役である梅原勝彦さんの本(「経常利益率35%超を37年続ける 町工場強さの理由」)を読んでいました。今回40年間近くにわたり驚異の利益率を上げてきた工場とは一体どんなところだろうと興味を抱いて訪問しました。また、幸運なことに直接梅原さんのお話を聞くことができました。
実際に工場を拝見し、案にたがわぬ現場の方の熱心な目つきにその秘訣を見たと思います。
「お客様の注文が終わるまでが仕事です」との感覚で仕事をしておられるそうで、それはまさに梅原さんの考え方が社員に浸透しているからだと思いました。またお話を拝聴して、梅原様の真剣さにずっとお話を聞いていたいという気分になりました。梅原さんは会社のことを、とりわけ社員のことを何より大事に考えておられます。そのためにはどうすればいいか。お客様にどう圧倒的なサービスを提供するか考え抜いて、即日発送の超短納期を実現されましたそうです。そのお話には、「社長の器が会社の成長を決める」という言葉を思い出しました。
梅原さんとのお話を通して、経営者としての貴重な心がけをたくさん頂きました。
「『大変』という言葉を経営者は使っちゃいけない」
「数字はいい時も悪い時も見せる」
「お客さんの無茶を聞いてこそ存在感がある」
「今日と明日では大きい違い」
「経営者は現場に入る。経営は頭の中でやればいい」
「経営者が自らの襟を正す。社員は一挙一動を見て育つ」
梅原さんにとっては当たり前のことかもしれませんが、改めてハッとする言葉ばかりでした。なかでも一番心に残った言葉は「ウチは製造業だがサービス業」です。現場作業員の「お客様の注文が終わるまでが仕事です」という言葉は常にお客様の目線に立っており、梅原さんの言葉を裏打ちするものだと思いました。(この話、続きます)