先週、菅首相が2030年の温室効果ガス46%削減(2013年度比)を宣言しました。
日本はこれまで、2013年度比で26%を削減する目標を掲げていましたが、今回はそれを大きく上積みした形になります。
すでに昨年10月に、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを実現する方針を示していますので、2030年は中間目標的な位置づけとなりますね。
これを聞いた私の素直な感想としては、「ホンマかいな」という気持ちです。
温室効果ガスの排出量を大きく減らすには再生可能エネルギーへの転換を急ぐ必要がありますが、間に合うのかな?なんて思います。
(資源エネルギー庁HPより)
日本は世界のエネルギー消費量で第5位の国であり、全世界の約3%を占めています。
ただ2017年度現在、我が国の電源構成に占める再生可能エネルギー比率は約16%となっており、ドイツやイギリスといった諸外国と比べて、まだ低い水準にあります。
2030年度のエネルギーミックスにおいては、これまでのエネルギー基本計画では再生可能エネルギー比率を22~24%と見通しており、この水準を実現し、再生可能エネルギーを主力電源としていくこととなっていました。また2019年度の温室効果ガス排出量は、2013年度比で14.0%の減少だそうです(環境省HPより)。
新たに削減目標を46%とした場合には再生可能エネルギー比率がこのレベルではとても足りないのは間違いなく、「わずか9年」でどこまでもっていけるのか、大変ハードルは高いと思います。
2030年までこれから9年で太陽光や風力、水素など再生エネルギーへの転換を図っていく必要があります。日本のエネルギー政策としてそこまで大胆な取り組みができるのか、すぐに取り組めるのか、大変大きな壁があります。
2017年からの伸びを考えても現状20%も行かないので、約半分の削減となると、例えば車はすべてEVかFCVにするとか、火力発電を止めるとか、大きな産業構造の転換が必要になると思います。
具体論として産業や家庭など分野ごとの削減目標や具体的な対策を策定して実行するとなると、結構な軋轢があるのではないかと思います。
また、例えば全部EVにするとなると、電気を充電するインフラは間に合うのかとか、製造過程でのCO2発生が大きくなるのではないかとか、電池などの資源枯渇は大丈夫か?などの課題もあるかと思います。
私たちのライフスタイルも結構変わる可能性がありますね。
電気料金への転嫁などによる負担も増える可能性もあります。コスト的には再生エネルギーの方がまだまだ割高なので、消費者行動が再生可能エネルギーを選ぶ方向に行くかどうかもポイントでしょう。
それでも、この目標には大変大きな意義があると思います。
「変化」に対して何かと臆病な(失礼!)政府がこれだけの目標を立てて協力に進めていくことには、大変な価値があります。
元々日本はエネルギー自給率が大変低く、2018年度で11.8%となっています。その原因として石油や天然ガス等を輸入に頼っているからなのは明白で、再生可能エネルギー比率を高めるということは、このエネルギー調達網を転換していくことになると思います。
「地球環境に対してやさしい」SDGs的な観点に加えて、エネルギー自給率を高める方向にかじを切ることは大変意義のあることですね。