これは第二次世界大戦の時の日本軍の戦略の失敗を元に、組織においてどのようなことが失敗を招くか、ということを解説した本です。
この間久々に再読したのですが、私がああそうか、と合点がいった指摘は次の三点です。
・「目的があいまいだと失敗する」
・「戦力の逐次投入(小出しの投入)は失敗する」
・「現場を知らないで指揮をすると失敗する」
翻って最近の新型コロナウイルスに対するいろいろな施策を見ていると、この本で指摘されていることが繰り返されているように思われます。
毎日の報道を見ていると、有事なのだから最初にリスクを開示してわかりやすい目標を提示し、拙速でもドカンと支援策を発表して、みんなを安心させればいいのに・・・とか、また医療崩壊を防ぐことが絶対に大事で、今はそのことと皆さんの毎日の生活を支えることを軸にすればいいのに・・・などと思ってしまいます。
とはいえ、そんな事はあとから振り返ってわかるわけで、その渦中にいればなかなか冷静に判断ができないものなのも確かです。
未来を見通すことは難しいですし、何をやっても文句を言われるものですし、結果に対して責任を問われるものですし。
俯瞰で物事を見るというのは難しいものだと思います。今までの経験で判断のつかない、五里霧中のことも重大局面であれば往々にしてあることです。
それでも右も左もわからないその中で、「決める」ということがトップに求められることなのではないかと思います。
たぶん「失敗の本質」で言いたかったことは、「決める」ことができるトップが有事には必要だ、ということなのでしょう。