一昨日から「機械要素技術展」に説明員として参加するため、東京ビッグサイトの近くのホテルに泊まっています。
本来ならこの場を借りてもっと機械要素展の宣伝をするところですが、ご多分に漏れず私も連日ワールドカップにはまっております。今ちょうど日本代表が決勝トーナメント進出を決めたところです。私自身ひとごとには思えない部分があるので、今回はワールドカップ、特に日本代表の話をします。
日本代表は前回ドイツのワールドカップで期待されながら1分け2敗でグループリーグ敗退と結果を出せず、しかも今回「ベスト4」なんて途方もない目標を掲げてしまいました。誰も信じていないのに「目標を達成するため」と、将来を嘱望される選手・Jリーグで活躍している選手をあえて選ばず、目先の勝利を優先するためにベテランぞろいで平均年齢は上がり、その選手たちは怪我を抱え調子が上がらず。それなのに本番前の試合では無様な負け方をして、一年半やってきた戦術は破綻し、付け焼刃の戦術をころころ試すようになり。チームの雰囲気は悪くなり、司令官は「ぶれる」と酷評され、絶対的な支柱だった選手は衰えが目立つようになり。正直グループリーグ突破を何人の人が予想したでしょう。でも、マスコミはあおってあおって「運命の一戦!」。プレッシャーはどれほど大きいことでしょうか。
そんな状況から、グループリーグ突破までこぎつけられたのはなぜでしょうか。
自分たちが「弱い・へたくそ」だと自覚するところからチームは変わっていったのかもしれません。
正直に言って、選手の技量が急に変わるわけはなく、しかも背負っているものはアフリカの選手や南米の選手の方がよっぽど大きいわけで、戦力を考えたら1勝もできるかどうか、いや1点取れるかどうかだったでしょう。
それでもランキング45位のチームが19位のチームに勝ち、4位のチームに善戦し、3戦目でこれほど躍動したのは、「人」の意識が変わったから、弱いからこそ「団結力」が強くなったからなのでしょう。
決してまわりのせいにせず、自分たちの立ち位置を自覚し、仲間を信じてできることをやっているから、前評判を覆す戦いをしているのでしょう。まさに堅守速攻、シンプルなプレーと恐れない心で前を向いて進んでいる姿は、確実に世界を驚かせています。
日本代表を「ひとごととは思えない」と言いましたが、それは私たちも小さいながら「世界に通用する」ゴムパッキン・ゴムシールの企業となることを目指しているからです。これはまるで「ベスト4」を目標にした日本代表のようです。なにが世界水準なのか、どの水準まで品質・コストを追求すればよいのか、周りから見たら笑われるかもしれません。しかし私たちは本気で目指しています。日本代表がハードワークと連動性で世界の競合に対峙したように、私たちは80人のサイズにあった方法で「ゴムのことなら高石工業」と世界中で言って貰えるようにしたいと思っています。
そのためにスタッフ一人一人の底上げは欠かせません。全員参加の気づきと積極的行動、お客様のかゆいところに手が届く提案とそれを実現する品質保証体制・研究開発体制、そしてそれらの基礎となるコミュニケーション。「対話でチームの一体感をもつこと」「勇気を持って一歩踏み出すこと」の大切さを今の日本代表は身をもって訴えているように思います。
もともと枕が替わると寝つきが悪い私ですが、早朝の日本-デンマーク戦は寝ずにテレビにかじりついていました。この試合がどのような結果であれ、日本の選手たちの健闘はたたえたいと思っていました。そして今は歓喜の時を迎え、静かな感動に包まれています。
次の一戦も強敵ですが、逃げず恐れず、自分たちを信じて日本代表にしかできないサッカーを見せてくれると思います。