JR名古屋駅の隣の駅にトヨタ自動車の創業者である豊田佐吉さんの業績を展示した「トヨタ産業技術記念館」があります。昔の紡績工場を記念館として改装したもので、「トヨタミュージアム」とも呼ばれます。
この間、その「トヨタミュージアム」に行ってきました。リコール問題でゆれるトヨタですが、この記念館には先人たちの汗と努力の結晶が詰まっていました。
豊田自動織機の創業者である豊田佐吉さん(今のトヨタ社長のおじいさん)は、それまでの手動式機織機から自動機織機を目指し、
・糸の送り出しを一定にする装置
・糸が切れたらすぐに止まる装置
・糸巻きの糸がなくなったら自動で取り替える装置
など、多くの画期的な機構を実現しています。これらの機構により、一人1台持ちから、一人30台持ちを実現したのだそうです。
展示館で実演デモを見せてもらいましたが、センサーもない100年も前にこのような大発明をしていたのには心の底からびっくりします。まるで飛騨高山のからくり人形を見ているかのようです。
(ちなみにその織機は、T型フォードやエジソンの発明と共に大英博物館に展示されているそうです。)
さらに興味深いことは、これらの発明の多くは「使い手のこと」を考えた、今で言う「マーケットイン」の発想だそうです。100年も前のことです。知恵を出して世のため人のために便利な機会を発明し、実際に自分の工場で十分に試験をしてから、世の中に売り出したのだそうです。
今紹介した「機織館」のほかに「自動車館」も併設されています。500円でこのような「人類遺産」とも言えるものが見られるなんて、感激です。
今この時代に製造業はどうあるべきか、非常に貴重なヒントをいただいたと思います。