製造部 坂田
東大阪商工会議所内にある東大阪新商品開発研究会の公開セミナーに参加してきました。
セミナーは「新商品開発のヒント」と題した、
山本化学工業(株)代表取締役社長 山本富造氏の講演でした。
講演の半分以上は去年の北京オリンピックを巡る水着の裏話と、
その後の世界水連の理不尽とも言えるルール改正の話でした。
具体的な内容は、
『オリンピックでは選手の90%がイギリスのスピード社のレーザーレーサーを着用した。
しかし、今年の世界水泳では山本化学工業のバイオラバーを使った水着の着用率が70%で、
レーザーレーサーはゼロに近かった。
その中でバイオラバーを使った水着を着用した選手が世界記録を連発したので、
ルール改正が行われることになり、来年よりゴム及びウレタンを使った水着の使用を禁止することになった』
『この背景には、世界記録が連発したこと以外にも、
ルールを決める世界水連の委員7人の内、5人がスピード社のOBで、
スピード社の有利になる様にルールが決められることがあるのではないだろうか。』
『ルール改正に対応した”織物を使った高速水着”の素材はもう出来ているが、
早くに発表すると、またルール改正をされるので10月に発表する予定である。』
といったお話でした。
そもそも山本化学工業さんがこの水着業界に参入されたのは、
今から4年前にトライアスロン用のウエットスーツを作ったことからだそうです。
このトライアスロン用のスーツは現在ほぼ全てが山本化学工業製で、
このスーツが全世界を席巻しています。
そうなる為にトライアスロンの競技説明会があれば、
世界の何処であっても出向き、山本工業製の素材の優位性をアピールしてきたそうです。
良いものを作ることも大事ですが、その良さをいかにユーザーに知ってもらうかがもっと重要で、
それがないと他社との優位性が獲得できません。
そういった点が日本の会社、とりわけ中小企業の弱いところではないでしょうか。
また昨年の10月にはアメリカのハーバードビジネススクールの教科書に掲載したいとの申し出(その教科書は今年の秋にも出版されます)があったそうですが、その時のやり取りの中で日本の会社はオーバースペックだと言われたそうです。
その例として御自身がお持ちの携帯電話を使い説明されました。
「お客様が使いこなせない状態」がオーバースペックであり、
使いこなすことができれば「高付加価値商品」となる。
通常、顧客満足度(CS)は100%にしないといけないが、
わが社は常に300%を目指している!と言われました。
最近、山本化学工業さんのテレビコマーシャルを良く見かけますが、
この日もかなり自信に満ち溢れてお話をされていました。
同じゴム業界として多少見習うことがあるように思いました。