キーワード:万能試験機,引張試験,圧縮試験
技術部の松井です。
前回に引き続き技術部で使用している設備についての紹介です。
1. 今回は万能試験機です。
当社ではゴムの物理試験に万能試験機(オートグラフ・引張試験機)を使用しています。
オートグラフと呼び、おもに単純引張試験を行っていますが、引裂き試験や永久伸び試験、テスト製品によっては圧縮試験なども行います。
一定速度で移動するつかみ具をもつ引張試験機でダンベル状(3号形)試験片を引張ります。試験片はゴムの列理の方向と平行に採り、試験片が切断するときの引張力及び伸びを測定します。
2006年10月までは振子式引張試験機(ショッパー式:試験片破断時までに振子の振り上った点をそのまま荷重目盛として読む。)を使用していました。
1本引っ張ってはそのデータを読むの繰り返しで、試験片が多い時は大変手間がかかっていました。また現在のデータの誤差範囲から比べると広く、その要因には、目盛を読む個人差が出ていたと考えられます。
現在のオートグラフになりゴムの物理試験は精度よく測定でき、試験で得られたデータ結果をグラフで表示できるようになりました。パソコンと連動しているので、試験条件の設定から試験後のデータ・引張りカーブのグラフまで表示・保存が可能になりました。材料違いから過去のデータとの比較・配合間違いの比較なども一目瞭然です。
同じ材料を同じ条件で試験する際は予め合否判定基準を入力しておくことも可能です。
ゴムの物理試験以外の条件設定は引張速度の変更や途中で停止させ、ある一定時間が経てば元に戻す・ダンベル状試験片以外のものを引張る・ジグを付け替えると圧縮も可能・・・など様々です。
使用方法は上記以上にあるのですが、機能が多く使用していないものも多々あると思われます。現在のところ『こんな試験がしたい。』『こんな試験に使える。』と年々使用方法も増えてきました。
ゴム材料により引張試験時の様子も異なっています。
・破断時にゴム破片が飛び、攻撃を受けている様で、試験後は飛び散った破片が散々としている。
・ 破断後の切れ目がスパッとしているものと縮れているもの。
・ 伸びの良いゴムは引張り容量を超えてしまいオートグラフが止まってしまう。
前回の加硫試験機のときもですが、ゴムが切れるときの音は意外と大きくて、試験室にいるときは何が起こったのかと驚くこともあります。
3. オートグラフの役割
ゴムの材料は『製品として使用条件に適しているのか?』と多々試験を行います。ゴム諸特性のうち引張特性はよく測定され、広く製品規格にも採用されています。
材料開発依頼を頂いたときもお客様の規格にあう材料や配合するための原材料を選ぶ基準にもなります。しかし製品の耐久性を表したいときはむしろ応力とひずみの関係が大切といわれています。
オートグラフはゴム材料の引張り特性が安定した数値で細かくわかり品質管理にも適していると思われます。当社の量産用ゴム材料はすべて定期的に引張試験を行い品質管理を行っております。
以上、万能試験機は当社にとって開発から品質管理まで対応している重要な設備となっています。
それではまた。