高石工業株式会社伸縮自在 高石工業研究開発型ブログ
  • 2017年07月11日

    水素とゴムの話(2)-ブリスタ破壊対策とはみ出し破壊対策-

    高圧水素環境下でゴムパッキンを使った場合によく言われるのが

    ブリスタ破壊とはみ出し破壊です。

    今回はその対策の話をします。

     

    ○円柱試験片の水素曝露によるブリスタ破壊挙動

     

    17071101

     

     

     

     

     

     

     

    これはφ29×t12.5の試験片を

    100MPa/30℃で65時間水素曝露したあとの側面の様子です。

     

    上段は硫黄加硫EPDMの充填剤なしの配合の結果です。

    減圧後1時間で気泡発生とともに試験片の破壊が発生しているのがわかります。

     

    中段は硫黄加硫EPDMのカーボンブラック25phrの配合の結果です。

    気泡の発生から破壊発生に至るまで数時間を要している様子がわかります。

     

    下段は硫黄加硫EPDMのシリカ(白色充填剤)の配合の結果です。

    これは気泡・破壊とも発生しなかったことがわかります。

     

    このことから「耐ブリスタ性向上にはシリカを配合したゴム材料が有効である」

    ということがわかります。

     

    Ref: 村上敬宜,松岡三郎,近藤良之,西村伸,

    「水素脆化メカニズムと水素聞き強度設計の考え方」

    第14章,養賢堂(東京),(2012)

     

     

    ○Oリングの水素曝露による膨潤挙動

     

    17071102

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    これは曝露直後のOリングの体積変化率の結果です。

    【供試体】 

     ・材質:EPDM   

     ・硬度:75  

     ・曝露時間:18時間

     

    【試験条件】

     ・圧力:70MPa

     ・温度:100℃

     

    いずれの圧縮率・充填率においてもシリカ配合に比べ、

    カーボンブラック配合の方が体積変化を抑えられているのがわかります。

     

    このことから、「はみ出し破壊の原因となる耐膨潤には、カーボンブラックを配合

    したゴム材料が有効である」、ということがわかります。

     

    Ref: S Nishimura et al., International Symposium of HYDROGENIUS,

    2011.2.2, Fukuoka, Japan

     

     

    ○ブリスタ破壊対策とはみ出し破壊対策

     

    ブリスタ破壊対策にはシリカ配合、はみ出し破壊対策には

    カーボンブラック配合が有効ということから、私たちはこれらを

    併用することが望ましい、と想定し配合に反映させています。

     

    次回は水素ステーションの話をします。

    カテゴリー:その他
  • 2017年06月07日

    水素とゴムの話(1)-ブリスタ破壊とはみ出し破壊-

     高圧水素環境下でゴムパッキンを使った場合によく言われるのが

    ブリスタ破壊とはみ出し破壊です。

     

    ○ブリスタ破壊 

    01水素入り込む図

     

     

     

     

      

     

     

    高圧水素ガスに曝されたゴムパッキンには、

    どんどん水素が貯めこまれていきます。

     

      02き裂発生する図

     

     

     

     

     

     

     

    その後脱圧すると水素は外部に出ようとします。
    その時内部に気泡が発生し、き裂になることがあります。

    き裂が進展するとゴムパッキンの破壊に至ります。
    これがブリスタ破壊現象です。

     

     

    Exif_JPEG_PICTURE 04ブリスタ拡大図 

     

     

     

     

     

     

     

    写真は試験用の配合で水素曝露したEPDMのOリングです。
    拡大写真の表面が内側から裂けている様子がわかるかと思います。

     

     

    05ブリスタ断面図

     

     

     

     

     

      

     

     

    写真は別の試験片の断面です。
    内部のみ裂けている部分があるのがわかるかと思います。

     

    このように外見ではブリスタ破壊が起きているかどうか判別できないときがあります。
    よって、Oリングは外見だけでなく断面の観察も行い、

    ブリスタ破壊が起きていないか確認をします。

     

    ○はみ出し破壊

     

    06はみ出し前図

     

     

      

      

      

    高圧水素ガスに曝されたOリングには、どんどん水素が貯めこまれていきます。

      

      

     07はみ出し破壊図

     

      

       

      

     

     

     

      

    その後Oリングは水素により膨潤していきます。

    体積は膨張し溝からはみ出すことになります。

    はみ出たOリングはいずれ破壊に至ります。
    これがはみ出し破壊現象です。

     

     

     Exif_JPEG_PICTURE 09はみ出し破壊拡大図

     

     

     

         

     

     

     

    写真は試験用の配合で水素曝露したEPDMのOリングです。
    拡大写真のOリングのパーティングラインの上あたりが
    ひげのようにはみ出ているのがわかると思います。

     

    私たちが実施している試験は90MPaで行うことが多く
    圧力の加減圧による負荷も加味されて複合的に破壊されることが
    一般的です。

     

    高圧水素でゴムパッキンを使用する場合、
    これらの破壊を極力抑えることが課題となります。

     

    次回はこの課題へのアプローチの話をします。

     

    Ref: 村上敬宜,松岡三郎,近藤良之,西村伸,

    「水素脆化メカニズムと水素聞き強度設計の考え方」第14章,養賢堂(東京),(2012)

    カテゴリー:その他
  • 2015年04月01日

    材料開発の進め方(3)

    技術部の高橋です。

    今回は材料開発の進め方の一例として耐水素用材料開発の話をします。
    現状、水素用の材料は高温用にFKM、常温用にNBR、低温用にEPDM、

    高温~低温用にVMQといった材料が使い分けされています。

     

    この中で私たちはFKMとEPDMの高圧水素シール材の開発に携わっており、

    今回はEPDMの材料開発で実際に行った実験についてお話しします。

     

     

    その実験とは、実験計画法による『L9実験』や『L18実験』です。

    実験計画法とは、どのようにして効率的にデータを取るのか、

    そして、得られたデータをどう解析するのかに対する明快な

    回答を示してくれる統計的手法です。

     

    今回の場合、「-40℃の高圧水素ガスのシール材」という

    未知の材料作製において、2年半という短期間で目的のゴム材料が

    作製できたのも、この実験計画法を活用できたことにあったと思います。

     

     

    0~70MPaの加減圧が行われる環境で、-40℃にプレクール(冷却)された

    水素ガスをシールするためのゴム材料は、下記条件を同時に満たす必要があります。

    A 水素によって破壊されにくい
    B -40℃の環境でもシール性に影響しない耐寒性を有している

     

    開発当初、Aの条件については九州大学の西村先生がそれまでに行っておられた

    研究成果を参考にさせていただいて、早い段階で解決することができたのですが、

    Bの条件にかなり苦戦を強いられました。

    そこで実験計画法を活用してBの条件を解決することにしました。

     

     

    それでは実際に行った実験について,具体例と共に説明します。

    Bの条件、すなわちゴム材料の耐寒性を向上させる方法を調査するために、

    [フィラーの有無]・[ポリマーの種類]・[可塑剤の種類]・[可塑剤の配合部数]・

    [加硫剤の種類]・[加硫剤の配合部数]・[加硫温度]・[加硫時間]の因子を取り上げ、

    どの因子が耐寒性向上に効果があるのか、L18実験にて検討しました。

    15040101

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    検討方法としては、動的粘弾性試験を行い、各ゴム材料のガラス転移温度を測定し、

    ガラス転移温度を下げる効果がある因子を特定することとしました。

     

    計測因子として動的粘弾性の温度分散を用い、貯蔵弾性率の0℃~-70℃の

    範囲の温度依存性が小さいこと、すなわち低温における貯蔵弾性率が

    0℃における値からの変化が小さくゴム弾性を維持していることが理想機能と考え、

    温度による動特性によりSN比を求めました。

     

    動的粘弾性は30mm×2mm×1mm の短冊試験片を用いて、

    アイティー計測制御製DVA200s型により、周波数10Hz,、-150℃~200℃の

    温度範囲で測定しました。

     

    試験に使用する試験片は、表1に示した制御因子をL18直交表に割り付け、

    それぞれの配合について金型中で所定の加硫温度・加硫時間により成形しました。

    動的粘弾性試験の結果から、SN比算出法により、低温におけるシールの

    ための必要特性を分析しました。

    要因効果図を図1に示します。

     

    15040102

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    SN比は0℃~-70℃の範囲における弾性率の安定性を示します。

    すなわちSN比が大きいものほど低温における弾性率の変化が小さく、

    ゴム弾性を維持する配合であることを示しています。

     

    要因効果によれば,「ポリマー種」・「可塑剤種」・「可塑剤配合部数」の

    感度が高く、各因子間で差が出ていない加硫に関する因子は、ガラス転移温度に

    与える影響は少ないと考えられます。

     

    したがって、ゴム材料の耐寒性を向上させるには、ポリマー種及び可塑剤種と

    その配合部数が重要であることがわかりました。

     

     

    このような実験を行うことで、目的のゴム材料を作製するための要素を絞り込みます。

    そして、絞り込んだ要素について更に適正値を見極めるために再度実験を行ったりします。

     

    今回の開発においても更にL9実験を行うことで『ポリマーと可塑剤の相性』や

    『可塑剤の適正部数』などを見極めました。

    耐水素用の材料開発についてのお話では以上です。

    カテゴリー:その他
  • 2014年12月01日

    材料開発の進め方(2)

    前回はお客様がご希望される物性をクリアするために行う

    材料開発のお話をしました。

     

    今回は製品サンプル納入からお客様のもとで行われる試験の結果を受けて

    さらに改良をすすめるというお話をします。

     

    ときどきお取引先のお客様から

    「すでに量産している製品の材料を改良して性能向上を目指したい。」

    というご相談をいただくことがあります。

     

    こういった場合、

    1.目的と目標などについてお打ち合わせ

    2.材料の改良に着手

    3.既存の量産用金型もしくは試作用金型を使って製品サンプルを製作

    4.お客様のもとで性能試験

    という流れになります。

     

    2.の材料改良はお客様と協議しながら、

    配合のアレンジが可能な範囲で

    絞り込んでいきます。

     

    2014120104

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    3.のサンプル製作は材料の収縮率が近い場合や、

    仕上げ方法に問題がなければ既存の量産型を使用して

    製品サンプルを作ります。

     

    材料の収縮率が大きく違う場合や、

    仕上げ方法を変えないといけない場合、

    もしくは形状も変更する場合は

    試作金型を起工して製品サンプルを作ります。

     

    2014120101

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    材料の収縮率が大きく違うと

    製品の寸法が変わってきます。

    許容範囲内であればいいのですが、

    材料を改良することによって大きく変わる場合があるので

    事前に確認しておく必要があります。

     

    また、材料を改良したことでバリの仕上げが難しくなることがあります。

    量産型は改良前の材料に合わせた構造になっているからです。

    これも材料を変更することで仕上げにどう影響があるかを

    事前に確認しておく必要があります。

     

    これらの手順を踏んで製品サンプルが準備できたところで、

    いよいよ4.の性能試験となります。

     

    そして、その結果は基本的に〇×判定となります。

    ここが物性試験とは違うところですね。

     

    ×の場合は、結果をよく吟味して

    同じ考えのもと配合改良をさらにすすめるか、

    もしくは全く違うアプローチで配合を考えるか、

    などの検討をお客様とすすめます。

     

    そしてまた2~4の手順を踏んで評価をすすめる、

    ということになります。

     

    〇だった場合は、それはそれでいいのですが、

    改良した材料に量産性があるのかどうか、

    最後にしっかりと確認しておかなければなりません。

     

     

    2014120105

     

     

     

     

     

     

     

     

    性能が出たのはいいけれど、

    量産をしたら不良率が高くて

    とても採算が合わない、

    ということにはしたくないですね。

     

    以上、お客様の性能評価を受けて材料開発をする、というお話でした。

     

    次回は耐水素用材料をモデルに材料開発の進め方をご紹介したいと思います。

     

     

    カテゴリー:その他
  • 2014年11月17日

    材料開発の進め方(1)

    今回は材料開発の進め方についてお話します。

     

    材料開発には、お客様から新しい材料の開発を依頼されて

    おこなう場合と、社内で自主的に開発する二つのパターンが

    あります。今回は前者について、ご依頼を受けてからの流れを

    ご紹介します。

     

    お客様からの材料開発をご依頼いただく場合は、たいてい

    ご希望の物性があり、それをクリアすることが目的となります。

     

    この物性値は新規製品の図面に記載されていたり

    仕様書に記載されていたり様々です。

     

    要求物性は多岐にわたり、常態試験(硬さ・引張強さ・伸び)や

    圧縮永久歪み試験、熱老化試験、浸漬試験(耐塩素水性や耐ガス性)

    などがあります。

     

    高石工業では水回りやガス関係でお使いいただくパッキンの製造が

    得意ですから、耐塩素水性や耐ガス性についてご相談いただく

    場合もあります。

     

    ご依頼の窓口となるのは営業部で、開発は技術部が担当します。

    営業部へご相談いただくと、まずご希望の物性が既存材料で

    クリアしているかを技術部がチェックします。

     

    既存材料でご希望の物性を満足できない場合は

    材料開発となります。

     

    このとき、既存材料を改良する場合もあれば

    一から配合を設計するときもあります。

     

    「新材料を開発する」というのは華やかに聞こえますが

    実は材料開発はとても地道な作業になります。

     

    基本は、以下の手順で進めます。

     

    配合設計

    ●配合設計

    混練り

    ●混練

     

     

     

     

     

     

     

     
     

     

    生地裁断

    ●生地裁断

    シート成形

    ●シート成形

     

     

     

     

     

     

     

     

     
     

    ダンベル抜き

    ●試験片作成

    引張試験

    ●試験評価

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    結果が要求物性を満足できなければ

    またチャレンジを繰り返します。

    時間のかかる作業です。

     

    次回はお客様での評価を受けて、というお話をします。

     

     

    カテゴリー:その他
  • 2014年11月01日

    異形状のゴム製品の測定について

    前回、前々回はOリング形状の線径、内外径の測定についての

    お話でした。今回は、「測れない製品」として、写真1のような

    異形状(Oリング形状でない)のゴム製品の測定についてのお話

    です。

     

    14110101

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    このような形状のゴム製品は、容易に変形してしまうため寸法が

    安定しません。寸法が安定しないと測定が輪をかけて難しくなり

    ます。つまり、測定時の置き方(変形しないように置いたつもり

    でも自然に変形している)一つで寸法が極端に変わってしまいます。

     

    試しにこの製品をCNC画像測定システム(Nikon製)でn=5の

    測定を行ってみました。その結果を表1~3に示します。

     

     

    表1 短辺内径(mm)

     

    n1

    n2

    n3

    n4

    n5

    平均

    23.97

    24.23

    23.99

    24.60

    24.41

    24.24

    23.78

    24.27

    24.03

    24.56

    24.33

    24.19

    24.17

    24.34

    23.92

    24.34

    24.10

    24.17

     

    表2 長辺内径(mm)

     

    n1

    n2

    n3

    n4

    n5

    平均

    92.89

    92.89

    93.08

    92.79

    92.94

    92.92

     

    表3 半径(mm)

     

    n1

    n2

    n3

    n4

    n5

    平均

    7.20

    7.14

    7.23

    7.15

    7.06

    7.16

    7.08

    7.08

    7.07

    7.17

    7.22

    7.12

    7.09

    7.26

    7.05

    7.09

    7.35

    7.17

    7.17

    7.27

    7.17

    7.21

    7.01

    7.17

     

    14110102

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    各表の①~⑧は図1に示す場所を測定した寸法です。

    表1に示す寸法は短辺の内側の直径、表2に示す寸法は

    長辺の内側の直径、表3に示す寸法は4隅の内側の半径と

    なっています。

     

    表1の結果について、n5の測定で①~③の直径は

    23.78mm~24.60mmとなり、平均値が約24.2mmでした。

    仮に平均値を基準とした場合、±0.4mmの公差があったと

    しても公差外になる値があります。

     

    このように寸法が安定しない製品は測定自体が困難で、

    ばらつきが大きくなり、測定時の置き方次第で値が変化

    してしまいます。

     

    勿論、製品そのものは材料の収縮率を見越して製作された

    金型で手順通りに作っていますので、出来上がりに問題は

    ありません。

     

    異形状のゴム製品の測定についてのお話は以上です。

    次回は「開発の進め方」についてです。

    カテゴリー:その他
  • 2014年10月29日

    ゴム製品の径方向の寸法測定方法

    前回に引き続き、ゴム製品の寸法測定について紹介します。

    あるゴム製品を測定して必ずしも真値を測定できるとは限りません。

     

    例えば、外径・内径の測定の際にノギスを用いる場合、ノギスで製品を

    挟み込むということは僅かな力が加わり製品に変形をもたらしている場合が

    あります。

     

    変形を最小限にとどめる為に可能な限り製品への負荷を減らしても、

    0.01mm単位で見れば変化が出ているのです。このようにゴム製品に

    ついては測定方法により測定値に若干の差が出てくる場合があります。

    測定方法でどのような差があるのかを検証します。

     

    今回は様々な測定器具を用いてOリング製品の外径、内径を測定し、

    比較・考察をしました。用いるOリングは前回も用いた、硬さ40、60、80の

    JIS規格P-12のOリング3種です。

     

    そもそも外径とは、Oリングの外周を円とした時の直径になり、内径はOリングの

    内周を円とした時の直径になります。下の図1に外径と内径を示しました。

     

    14101501

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    まずは、ノギスを用いての測定です。

    14101504

     

     

     

    14101503

     

     

     

     

     

     

    図2.硬さ60のOリングのX方向の外径測定

     

     

    14101505

     

     

     

    14101502

     

     

     

     

     

     

    図3.硬さ60のOリングのY方向外径測定

     

     

    円形の製品を計測する際は少なくともX方向とY方向の二か所について測定し、

    その平均値を外径とみなしています。Oリングの外見は円形ですが、基本的には

    完璧な円ではないのです。

     

    図1ではX方向、図2ではY方向で外径を測定しました。X方向では16.50mm、

    Y方向では16.52mmとなり、これを平均した16.51mmが外径になります。

     

    次に内径ですが、図4のようにして測定します。内径もXYの両方向を測定して

    測定値を平均しました。

    14101506

     

     

     

     

     

     

    図4. 硬さ60のOリングの内径測定

     

     

    表1にデジタルノギスによる各Oリング製品の寸法をまとめました。

     

    表1. デジタルノギスによる各Oリング製品の外径と内径

    Oリング硬さ

    40

    60

    80

    外径(mm)

    16.57

    16.51

    16.49

    内径(mm)

    12.02

    11.82

    11.67

     

     

     

     

    次に、万能投影機を用いた測定です。図5は万能投影機の全体図です。

    14101507

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    図5.万能投影機の全体図

     

    機器中央にOリング製品を置き、下側から照射された光によって

    出来る影を利用します。画面上に拡大投影された製品の両末端の

    距離を測ることで外径・内径を測定します。

     

    投影された製品の拡大図のXY方向について基準となる線に

    Oリング末端を合わせ、手動で基準線をもう片方の末端に動かす

    ことで基準線の移動量から径の長さを測ります。

     

    図6では見づらいかもしれませんが、投影画面に十字の基準線があり、

    それにOリング末端を合わせています。

     

    14101508

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    図6.投影されたOリング

     

     

    14101509

     

     

     

     

     

    表2に、万能投影機による各Oリングの寸法をまとめました。

     

     

    表2. 万能投影機による各Oリング製品の外径と内径

    Oリング硬さ

    40

    60

    80

    外径(mm)

    16.69

    16.50

    16.50

    内径(mm)

    11.83

    11.67

    11.62

     

     

     

    次に、CNC画像測定システムを用いた測定です。

    CNC画像測定システムは図7のような装置です。

    14101510

     

     

     

     

     

     

     

     

    図.7 CNC測定システム

     

    機械の中央にOリングを設置し、上下から光を照射することで

    PC上にOリングの拡大図が映し出されます。

     

    1410151114101512

     

     

     

     

     

     

     

     

    外径を測定する場合は図8の赤線部分のようなOリングの

    外周の点を多く取ることで、取った点を全て通る円が自動的に

    算出されます。Oリングの外周円からなるべく均一に点を

    取っているため全体を平均された値が得られます。内径に関しても

    同様のことが言えます。

     

    14101513

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    図8.CNC画像測定によるOリング拡大図

     

    CNC画像測定による各Oリングの外径、内径を表3にまとめました。

     

    表3. CNC画像測定による各Oリング製品の外径と内径

    硬さ

    40

    60

    80

    外径

    16.65

    16.50

    16.49

    内径

    11.80

    11.65

    11.61

     

     

     

     

    最後に、各測定機器で得られた結果をまとめました。

     

    表4. 各測定方法によるによるOリング製品の外径と内径

     

    測定機器

    外径

    内径

    硬さ40

    デジタルノギス

    16.57

    12.02

    万能投影機

    16.69

    11.83

    CNC画像測定機

    16.65

    11.80

     

    測定機器

    外径

    内径

    硬さ60

    デジタルノギス

    16.51

    11.82

    万能投影機

    16.50

    11.67

    CNC画像測定機

    16.50

    11.65

     

    測定機器

    外径

    内径

    硬さ80

    デジタルノギス

    16.49

    11.67

    万能投影機

    16.50

    11.62

    CNC画像測定機

    16.49

    11.61

     

     

    今回の測定の結果を見ると、数値に違いが見られました。

    硬さ40のOリングに関しては、デジタルノギスで測定した

    場合の数値がほかの測定機器に比べて差が大きくなってしまいました。

     

    前回も述べました通り、デジタルノギスによる寸法測定は

    技量が必要になるため、測定の難易度が高いのです。

    その代わりに万能投影機やCNC画像測定機と異なり素早く

    測定が出来るという利点もあります。

     

    一方で万能投影機やCNC画像測定機は直接ゴム製品に

    触れることなくゴム製品の測定が出来るため、

    変形しやすいゴム製品などを変形が無い状態で測定できる

    という長所があります。

     

    このようにそれぞれの測定方法は一長一短がありますので、

    場合によって測定方法を使い分ける必要が出てくるのです。

     

    いかがでしたでしょうか。次回は測れない製品の寸法測定を紹介します。

    カテゴリー:その他
  • 2014年10月01日

    ゴム製品の厚みの測り方

    今回は「ゴム製品の厚みの測り方」について紹介します。

    JIS B 2401-1ではOリングの寸法公差が定められています。

    14100101

    こちらから運動用OリングP-12の太さ(図1)を参照すると、

    2.4±0.09mmとあります。
    上下合わせて0.18mmの幅がある理由は製造工程での要因以外に、
    ゴムが柔らかい材料であるための「測定の難しさ」があります。

     

    試しに、硬さ違いのゴム材料を用意して、Oリング (P-12)を同じ金型で
    それぞれ成形した後、画像測定装置、ダイヤルゲージ、ノギスの
    3種類の器具で測定しました。

     

    先に測定値のまとめを(表1)に記します。見ると測定器具により測定値に幅があり、
    特にダイヤルゲージで硬さ40°のゴム材料を測った値は他の2つの計測器と比較して
    大きく異なります。さて、どういう事でしょうか。
    それぞれの測り方の紹介と共に測定の難しさについて説明いたします。

     

    (表1)測定値まとめ

    硬さ  40°  60°  80° P-12(規格)
    画像測定装置 2.39 2.46 2.47 2.4±0.09
    ダイヤルゲージ 2.26 2.42 2.45
    ノギス 2.38 2.42 2.45

     

    14100102
    まず、画像測定装置を用いての測定です。(図2)の拡大部分の矢印を
    径方向と呼んでいます。その径方向に4ヶ所レーザースキャンし、
    4ヶ所それぞれの最高点を平均してOリングの太さを求めました。

     

    左向き矢印のそばにある点がスキャン中の光です。4ヶ所測定しているのは、
    測定による誤差を減らすためだけでなく、単純に場所により加硫成形後のちぢみや、
    加硫成形中の圧力のかかり方などにより、太さが微妙に違う為です。

     

    また柔らかい製品、細い製品、薄い製品などでは測定台への置き方でも
    値が変化します。同じものを同じように測定してもばらつきが比較的大きくなるのが
    ゴム寸法測定の難しいところです。

     

    14100103

     

    次にダイヤルゲージで測定しました。
    (図3)は硬さ40°のOリング測定の様子です。わずかながら凹んでしまっています。
    バネ荷重による一定圧力が生じたためです。そのためゴム製品高石工業では
    ダイヤルゲージでの測定の場合、Oリングの太さと材料の種類によって補正値
    を設定して測定しています。なお、ここまで誤差が大きくなる場合は
    別の測定方法をとり、ダイヤルゲージを測定器具として使用する事は基本ありません。

     

    14100104
    最後にノギスを用いての測定です(図4)。ノギスでの測定も測定面が接触するため、
    圧力による変形が起こる可能性があります。また、人の手によって幅を合わせるため、
    寸法測定には訓練済みの検査員が行うことになっています。

     

    社内での規格を参照すると「ノギスには、定圧装置がないので、
    適正でかつ均一な測定力で測定するようにしなければならない。」
    「製品をはさみ押さえ込んだ状態から、徐々にゆるめていき
    製品が落ちるか落ちないかの時の値を測定値とする。」とあります。

     

    いかがでしたでしょうか。高石工業ではこれらの測定装置を製品によって使い分けて
    寸法測定を行っています。次は径方向(内径、外径)の測定も紹介したいと思います。

     

    次回をお楽しみに。

    カテゴリー:その他
  • 2014年09月15日

    ゴムの接着によるひずみついて 「凹んじゃいます!!」

    今回は金具にゴムを加硫接着させたときにおこるひずみについての話です。
    (加硫接着とは金属への接着剤塗布後に未加硫ゴムと圧着し加熱する方法です。)
    接着を行うと「ヒケ」と呼ばれるひずみが起こります。
    (ひずみのことをヒケと言います。)
    ヒケはゴム特有のものではなく樹脂や金属の鋳造ものにもみられる現象です。
    実際に下の写真の金具(真鍮)を使用し、金具の溝にゴム(NBR)を加硫接着してみました。
    上の3つの溝の深さは1㎜で、下の3つの溝の深さは2㎜になっています(写真1)。
    左から50・70・90の硬さのゴムを使用しました(写真2)。
    140915-01.JPG
     (写真1) 
    140915-02.JPG
     (写真2)
    写真2では光の加減ですが硬さ50のゴムが一番ヒケているのが分かります。
    また断面を見るために写真2の金具を切断してみました。
    (金具は両面加硫接着できるように製作しています。)
    上が1㎜、下が2㎜の溝になっています(写真3)。
    140915-03.JPG
      (写真3)
    写真3では1㎜のほうはヒケの様子が分かりにくいですが、
    2㎜のほうは硬さ50>70>90とヒケていることが分かります。
    表面の凹凸をレーザースキャンによって測定し、近似線で表してみました。
     140915-04.jpg
    このグラフから、ゴムの硬さが柔らかく、またゴム部が厚い方が、
    ヒケが大きくなっていることが分かります。
    更に、材料が違うとヒケはどのくらい違うのか、FKMを使用し調べてみました。
    FKMは70(材料違い2種類)・90の硬さのゴムを使用しました。
     
    140915-05.jpg
    NBRの硬さ70の材料とFKMの硬さ70の材料を比べると
    FKMの方がヒケていることがわかります。
    また硬さ90を比べてもFKMの方がヒケています。
    ゴム材料はそのものの収縮(縮み)もありますが、
    加硫接着時にも材料によるヒケの違いがあります。
    今回はあるNBRとFKMを使用し金具の溝の深さも1㎜と2㎜のみで、
    その金具の溝にゴムを埋めるという方法でしたが、ゴム材料や
    金具の溝の深さ、加硫接着をする金具の形などによる
    ヒケの差は一定ではありません。
    ゴムと金具の加硫接着をする時には、ヒケのことも少し考え
    『寸法』や『ゴムを接着する金具』、『製品の設計』にひと工夫
    されているのですね。
    では次回をお楽しみに。
    カテゴリー:その他
  • 2014年09月01日

    ゴムの硬さの変化について 「ゴムの硬さが変わる?!」

    みなさんは、ゴムといわれると輪ゴムのような
    やわらかいゴムを想像されますか?
    ゴムは用途に合わせていろいろな硬さのものがあります。
    スライムのようにやわらかいものからボーリングの玉のように
    固いものまで様々です。
    私たちが得意とする工業用ゴムパッキンでは、おおよそ
    50°~90°くらいのものがよく使われています。
    しかしその硬さは、作られた時から”変わらない”という
    わけではないんです!おどろきですね~。
    実際の製品で、成形当日から1か月間の硬さの違いを
    見てみましょう。
     
    今回は弊社で生産しているNBRとEPDMの製品の中から
    一つずつ選んでみました。それぞれの材料で作られている
    Oリングを用意して測定してみます。目標の硬さはどちらも62±5°です。
    測定方法はこんな感じです。
    140901測定器具.jpg
    <測定器具>
    140901測定部分拡大.jpg
    <測定部分拡大>
    140901表.jpg
    NBRとEPDMの測定結果です。
    これでは解りづらいので、グラフにしてみました。
    NBRグラフ.jpg
    EPDMグラフ.jpg
    近似線からばらつきがあるのは、測定するときの温度や
    Oリングが動かないように固定する冶具のはさみ方の強さ
    などが影響しています。
    近似線を見てみますと、成形当日から数日間かけて硬くなり、
    その後もわずかずつですが硬くなり続けています。
    今回測定した材料ではこのような結果となりました。
    ただ、NBRやEPDMがすべてこのような結果になるとは
    限りませんので、おおよその傾向とご理解ください。
     
    このようにゴムの硬さは変化するので、目的の硬さに許容差が
    必要になることを理解して製品を作る必要があります。
    では次回もお楽しみに。
    カテゴリー:その他
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