高石工業株式会社伸縮自在 高石工業研究開発型ブログ
  • 2009年06月22日

    EPDMの耐塩素効果について №1

    キーワード:耐候性,耐オゾン性,耐薬品性,二重結合,過酸化物架橋
          次亜塩素酸ナトリウム,残留塩素,カーボン離脱,墨汁現象

    技術部の高橋です。

    1.はじめに

    弊社ではEPDM,NBR,FKM,VMQなどのシール材に用いられる代表的なゴムを
    取り扱っています。それぞれのゴム材料の一般的な性能を表1に示す。 

    zaoryou2.JPG 
    これらのゴムのうちEPDMは主鎖に二重結合がないことに起因して、耐オゾン性耐候性
    酸,アルカリなどに対する耐薬品性が優れるという特徴があります。
    特に過酸化物で架橋させたものは耐久性や耐熱性が良好であるため、水や熱水が流れる水回り
    のシール材として使われることが多いのです。

    一方、近年では上水道において、殺菌用として用いられる次亜塩素酸ナトリウムの濃度が高まる
    傾向にあり、それに伴いシール材からのカーボン離脱墨汁現象など、水道水中への異物混入の
    原因となるシール材の劣化現象に悩まされています。
    そこで、今回は弊社のEPDMが水回りのシール材として使われたとき、塩素によって受ける
    影響を試験した結果を報告します。

     

     

    2.低濃度残留塩素による劣化メカニズム

    低濃度残留塩素とは、水道水を次亜塩素酸ナトリウムで殺菌したときに残留する塩素で、
    普通の水道水であればだいたい1ppmぐらいであることが知られています。
    この低濃度残留塩素によってEPDMシール材は下記のような流れで劣化します。

    ① 水道水中の次亜塩素酸ナトリウムがEPDMに配合されたカーボンブラックに少しずつ吸着
    ② ポリマーの主鎖切断による架橋密度の低下
    ③ シール材の部分的な分解・崩壊
    カーボン離脱墨汁現象など微少破片の流出

    * ppm=parts per million⇒百万分の1
    例えば、1000ppm=1000/1000000=1/1000=0.1%
    ですから1ppm=1/1000000=0.0001% となります。

     

    3.試験方法
    60℃に保持した次亜塩素酸ナトリウム50ppm水溶液に試料を浸漬し、sikennsouti.JPG
    800時間経過後の試料表面からのカーボン離脱の有無を確認する。
    また、浸漬前と浸漬後の質量,体積及び引張り強さなど
    の機械的性質の変化も測定する。
    さらに、同じ硬さの材料でカーボンブラック配合品と
    シリカ配合品で耐塩素水性に違いがあるのかも確認する。

    試験液:次亜塩素酸ナトリウム水溶液(50ppm)
    浸漬温度及び時間:60℃×800時間
    用意した試料:硬さ60,70,80,90の
           カーボンブラック配合品
           硬さ60,70のシリカ配合品siryou.JPG

    *試料はいずれも弊社の代表的なEPDM材料を選定。

    次回は試験結果等の報告です。
    ではまた。

  • 2009年06月15日

    拍動装置用ダイヤフラムの作成 №4 お客様の声

    お客様 : 日本大学大学院理工学研究科 様
    キーワード : お客様の声

    営業部の齋藤です。

    前回は納品までのお話をしました。
    簡易型を使って3個の製品を10日で納めたという内容でした。

     

    お客様の声 (鈴木・藤田研究室 修士2年 渡邉 様)1.JPG

    初めてのゴム製品外注(ダイヤフラム形状)でしたので強度計算についての知識も無く、 どのように指定すればよいか迷いました。また、金型製作の費用が高く、少量での製作は困難かと思いましたが、少量製作をしていただける業者をインターネット上から探すことにしました。
    貴社以外でもそのような業者さんは数件見つかり、その内の何軒かに見積もりを依頼しましたところ、貴社より値段が高い所がほとんどでした。
    何よりも、こちらからの問い合わせに親切丁寧に対応していただき、図面提案などをスムーズに行っていただいたのが決め手となり、製作依頼をお願いいたしました。2.JPG
    製作期間は予想よりも短く、出来上がってきたものはとても綺麗で精度がよく、仕様以上の圧力をかけても正常に動作していました。
    さすがプロの仕事なと関心いたしました。
    納期・精度・価格共に非常に満足してます。
    今後とも宜しくお願いいたします。
     
    ※高石工業様に製作していただいたダイヤフラムは、H20年度科学研究補助金(若手研究(B),課題番号19700387,研究課題名:血液ポンプ羽根車のための先駆的な翼の開発)の一環として使用しております。
     
    また、本研究はThe 16th annual congress of the International Society for Rotary Blood PumpsにてImpeller Design Based Hydro-characteristics for Low Reynolds Number and Pulsatile Wing Flowという演題で発表いたしました。
    日本大学理工学部機械工学科鈴木・藤田研究室

     

    ありがとうございます

    今回は『お客様の声』を聞いてみました。
    お忙しい中ご協力いただきましてありがとうございました。
    お納めしたダイヤフラムに満足していただいて私どももうれしいです。
    こういった喜びの声をお聞きすると、がんばってよかったなと思いますね。

     

    自己分析

    私どもの仕事を喜んでいただけた理由を自分なりに分析してみました。

    ① 親切丁寧な対応
    これは社長が常日頃から言っていることです。
    「親切にしてあげてねー」なんて言ってます。
    例えば、インターネットで弊社のホームページを見つけて、
    いいなと思っても、知らない会社に問い合わせるのは不安だと思います。
    せっかく問い合わせて下さったのですからできるかぎりの対応をさせてもらっています。
    もちろん分野の違うものは辞退致しますし、できないものはできないとはっきり申し上げます。
    どのような場合でも丁寧な対応を心掛けています。

    ② ゴムの知識
    私どもは合成ゴムの成形品を作り続けて61年(2009/4/10現在)になります。
    配合から納品まで国内自社工場で一貫生産しています。
    そういったことからゴムの知識やノウハウはずいぶん蓄積されています。
    特に材料のこと成形のことに関しては本業ですので詳しくお話しできます。
    しかし普通の人はゴムに関わることもないので知らないのが当たり前です。
    私も会社に入るまでゴムのことは全く知りませんでした。
    ですから私たちはお客様の「ゴムのわからないこと」に対して専門家としてわかる範囲でお答えしています。

    ③ 安い早い
    この2点は常に心掛けています。
    すべての案件で安く早くできればいいのですが、やはりそうはいかない場合もあります。
    ですからお客様の立場で考えできるだけ安く早くできるようがんばっています。

     

    その後

    納品後しばらくしてですが、研究室にお伺いしました。
    実はダイヤフラムをお作りしたとき、お打ち合わせ等は電話とメールでしたのでお会いするのは初めてでした。
    私たちとしてはお客様の生の声を聞けるのはとてもありがたいことです。
    ダイヤフラム使用後の感想やゴムに関するご相談をお聞きしたり、有意義な訪問でした。
    その後も展示会に来ていただいたり、ゴム相談をお受けしたりしました。
    確かに商売につながることも大事ですが、人と人の関係を築くことも大切だと思います。
    またそういったお客様と仕事ができるよう営業していきたいと思います。

    ダイヤフラムの話は今回で終わりです。
    次回はまた新しい話になります。

    では。

     

  • 2009年06月08日

    拍動装置用ダイヤフラムの作成 №3 成形

    お客様 : 日本大学大学院理工学研究科 様
    キーワード : 簡易型製作 試作の流れ 問合せフォーム

    営業部の齋藤です。
    前回まで御見積りを出す段階までお話ししました。
    御見積りを出すためには事前のお打ち合わせが欠かせないという内容でした。

     

    受注

    御見積書を提出して5日後にご注文をいただきました。
    受注です。
    いつでも注文をもらうとうれしいものです。
    今回は簡易型を使った試作なのでなおさらです。

     

    簡易型手配

    簡易型を使った試作の手配をします。
    普段と違うところは、まず簡易型の手配をしないといけない点です。
    金型がないと成形はできませんし、それが最も時間のかかるものだからです。

     

    簡易型製作

    とはいえ簡易型は自社で製作するので時間はずいぶんと早くできます。
    量産型と同じような作り方で1ヶ取の金型を作ると時間もかかりますしコストもかかります。
    時間で言うと数週間、コストで言うと数十万円します。
    それが簡易型ですと、数日、数万~十万円程度で済みます。
    ましてや今回のように3ヶだけ必要ということであれば簡易型はうってつけです。

     

    sisakunonagare.JPGのサムネール画像

    お問い合わせ

    まず[1 お問い合わせ]ですが、私どもではいろいろな形で受け付けています。
    メールと電話での問い合わせが多く、どちらも「HPをみて」という方ばかりです。
    メールの場合はHPの問合せフォームからがほとんどです。
    内容によって様々ですが、分からない点など返信や電話でお聞きして打ち合わせということになります。
    電話の場合は、その場で詳細をお聞きするのでだいたい必要なことは打ち合わせできます。

     

    御見積り

    お打ち合わせによって試作の進め方が決まるので、それに沿った御見積りをお出しします。
    簡易型を使った御見積りですと、

    1 簡易型の単価
    2 試作品数量に対する単価

    という内訳になります。
    金型代を製品代に含めることもできますし、試作一式でお出しすることもあります。

     

    受注

    御見積内容がよろしければ御注文をいただく段階に進みます。
    御注文の方法も様々で、メールやFAXで注文書をいただくのが一般的です。
    他には指定伝票で送ってくださるとか、口頭という形もあります。
    いずれにせよ何らかの方法で発注を伝えていただければ大丈夫です。

     

    各種手配

    金型ができないことには成形ができませんので、受注するとまず簡易型の手配からはじめます。
    単価を出す時点で図面はだいたいできているので詳細をつめて製作に入ります。
    それと並行して、試作品製作の手配も進めます。
    主に成形と材料の手配をします。
    ともに簡易型があがればすぐに取り掛かれるようにしておきます。
    あとは納期との兼ね合いで工程を組んで成形します。

     

    出荷

    これもお客様の様式に合わせて行います。
    一般的には請求書と納品書を製品に同封して出荷します。

    今回の場合は受注から納品まで10日(営業日)で対応しました。
    成形品の試作としてはずいぶん早いと思います。

    次回は納品後のお話をします。

    ではまた。

     

     

  • 2009年06月01日

    拍動装置用ダイヤフラムの作成 №2 御見積り

    お客様 : 日本大学大学院理工学研究科 様
    キーワード : 御見積り 事前打ち合わせ

    営業部の齋藤です。

    前回までお問い合わせの内容とその対応についてお話ししました。
    製品を作る方向性が決まったので御見積りをお出しする段階になります。

     

    御見積り

    御見積りの内容は
    ① 1ヶ取の簡易型1面の単価
    ② ダイヤフラム3ヶの単価
    という内訳になります。
    今回は10万円~15万円の間でお出ししました。

     

    事前打ち合わせ

    私たちの試作お問い合わせの対応ですが、御見積りをお出しする前に打ち合わせをします。
    なぜかというと、「図面だけ」とか「仕様だけ」とかでは判断材料としては足りないからです。
    私たちは最適な方法をご提案するということをしています。
    そのためには様々な仕様・条件・ご要望などお聞きする必要があるのです。

     

    ご確認事項

    試作のお問合せをいただいた場合、私たちが確認することは次のようなことです。
    ① 図面(寸法・形状)
    ② 材料の種類
    ③ 材料の硬さ
    ④ 数量
    ⑤ 使用条件・環境
    ⑥ 精度のレベル
    ⑦ ご予算
    ⑧ 試作の進め方

     

    対応のストーリーを考える
    最初にお問い合わせいただいたときは「ご確認事項」の一部である場合が多いので、こちらからご連絡しおたずねします。
    そうしてお打ち合わせをし、どういう方向で試作を進めていくのがいいのかお打ち合わせをします。
    確認事項のすべてをお聞きできないこともありますが、それでもどのような方法があるかを考え、あらゆる選択肢を考えます。
    そうして対応のストーリーを決めていきます。

     

    今回の場合

    今回の日本大学のお客様の場合ですと、
    ① 図面   おおまかなものが有り
    ④ 数量   3ヶ
    ⑤ 使用条件・環境 拍動装置用・20回/分で20㎜ストローク・20mmHgの水圧
    ⑥ 精度のレベル  試験機に装着してい使用
    という情報が最初のお問い合わせとお打ち合わせでわかりました。
    他の詳細設計はこちらのノウハウで製作しやすい形お願いしたいということでしたので、
    ① 図面   こちらで設計
    ② 材料の種類  EPDM(耐水性・高伸縮性)
    ③ 材料の硬さ  55
    ⑦ ご予算  学生さんなのでできるだけ抑える
    ⑧ 試作の進め方  簡易型
    ということをご提案しました。

     

    なぜ事前打ち合わせが必要なのか

    ゴム部品を試作する場合、何が必要な情報なのか分からないことが多いと思います。
    そういった部分を私たちからお聞きするのが事前打ち合わせです。
    そこでお客様のご要望をほぐして整理していきます。
    つまりお客様の「作りたい」を目に見える「カタチ」にしていくわけです。
    そうして一旦こちらに引き取って検討をし、最適な方法をご提案していきます。

    御見積りをお出ししたので次はご注文をいただいて受注・成形という段階に入ります。
    そのあたりは次回に。

    ではまた。

  • 2009年05月25日

    拍動装置用ダイヤフラムの作成 №1 お問い合わせ

    お客様 : 日本大学大学院理工学研究科 様
    キーワード : 拍動装置用ダイヤフラム ゴム試作 ゴム加工 ゴム金型 簡易型

    営業部の齋藤です。

    今回は拍動装置用ダイヤフラムを小ロットで作成した時のお話をします。
    これは研究室の実験装置に使うため製作を依頼されたものです。

     

    お問い合わせ

    お問い合わせはメールで来ました。
    高石工業のHPを見て問い合わせてくださったそうです。
    前回の九州大学のお客様もそうですが、みなさんまずはネットで検索をされます。
    そうしてめぼしいところをピックアップしてアクションを起こします。
    それはメールであったりTELであったり様々です。
    私たちはこういったお客様の行動に沿った体制を整えています。
    このあたりはおいおいお話しするとして、お問合せ内容は次のようなことでした。

     

    拍動装置用のダイヤフラムを作ってほしいdsaiyahuramu.JPG

    「拍動装置を発生させる為の駆動装置を開発しており、駆動装置に必要なダイヤフラムを探しています。研究で使用するため少量(2,3個)でもよろしいでしょうか?」
    という内容でした。
    正直なところ拍動装置というものがいまひとつピンとこなかったのですが、装置の断面図と仕様をいただいたので、上下2ヶ使いで1分間に20回拍動し水を押し出す、ということがわかりました。さらにダイヤフラムの大まかなサイズを記した図面が添付してあったので、ゴムに関してはずいぶんと把握でしました。

     

     

    すぐに返信

    ダイヤフラムは得意とするところなので、「お受けしたい」という内容のメールを返信しました。
    その日に詳細をお聞きしたところ、ストローク長20㎜、内圧は200mmHgという情報を頂きました。
    ただ形状・寸法の詳細設計は行っていないということで、こちらのノウハウで製作しやすい形にお願いしたいということでした。

     

    ゴム試作

    一般的にゴムの試作対応には大きく分けて「ゴム加工」「ゴム金型」の2つがあります。
    どちらも良し悪しがあり、私たちはお客様のご相談内容によって使い分けています。

     メリット デメリット
    ゴム加工 ・ 安価・ 短納期 ・ 寸法公差が大きい・ 製品ごとのバラつき・ 材料の選択肢が少ない
    ゴム金型 ・ 寸法精度が高い・ 製品ごとのバラつきが少ない・ 材料の選択肢が豊富 ・ 高価・ まとまった納期が必要

    daiyahuramu.JPGのサムネール画像

     

     

     

     

     

     

     

    「ゴム加工」は切削や打ち抜きといった方法になり、こちらは協力工場さんにお願いしています。
    安く早くできるということが利点ですが、表にあるようなデメリットもあります。
    「ゴム金型」は製品の完成度は高いのですが、高い遅いというデメリットがあります。
    どちらも使いようで、たとえば材料や精度は気にしないが早く形を見てみたいという方には加工が向いています。
    実機に装着して耐久試験をするのなら金型でされるほうが量産に向けた評価ができます。

     

    提案型営業

    私たちはお客様に合わせていくつかの選択肢をご提案しています。
    特に私たちがこだわっているのは量産に向けたご提案ができるということです。
    試作ができても量産性がなければ、試作をする意味がありません。
    私たちは長年量産製品を作り続けていますので、さまざまな面でご相談に乗ることができます。
    もちろん試作だけというご要望もお受けいたしますし、それに合ったご提案も致します。

     

    簡易型というご提案

    さて今回は「簡易型」を使った試作をご提案しました。
    「簡易型」は自社で製作する試作型のことです。
    量産型のようにしっかりしたものではありませんので耐久性はありませんが、試作用に数個作る分には十分利用価値があります。
    わが社では試作用に簡単な金型を作る体制を整えています。
    簡易型を使う利点は、金型に比べ安価で短納期、さらに金型と同様の精度が出せるので「ゴム加工」「ゴム金型」のメリットをいいとこどりすることができるのです。

     

    なぜ簡易型

    今回なぜ簡易型をご提案したかというと、いくつか理由があります。

    ① 特殊な材料が必要
    「1分間に20回拍動し水を出し入れする」という使用環境なのでEPDMを選択しました。
    一般的なEPDMでは耐久性に不安があるので、自社配合のEPDMを使うことにしました。
    弊社独自の材料を使うとなれば、金型でないと成形できませんので簡易型を選びました。材料は、耐水性と高伸縮性のあるEPDMで硬さ55を選択しました。

    ② 形状が特殊
    ストローク長をとるためにコンボリューションが必要で、いただいた図面にも描かれていました。
    切削でできなくもないとは思いますが、簡易型の方が正確にできると判断しました。

    ③ 精密さが必要
    上下2ヶ使いであるので、吐出量と耐久性が重要と考えました。
    製品の完成度と持久力を考えますと、簡易型が向いていると判断しました。
    つまり今回は加工では耐久性・完成度の面で不安、金型を起こすほど数量は必要ではなく予算も限られている、という状況であったわけです。
    さらに実際の試験機に装着して試験に使われるということでしたので、確実なものをと判断し簡易型をご提案しました。

    私どもの方での対応の方向性が決まったので、御見積りをお出しする段階に入ります。
    そのあたりは次回に。

    ではまた。

     

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  • 2009年05月18日

    水素曝露試験用ゴム試験片の作成  №4 試験結果

    お客様 : 九州大学水素利用技術研究センター 様

    キーワード : ブリスタ 水素曝露 ゴムの開発支援 ゴムの提案型営業

    営業部の齋藤です。

    前回まで、問合せ(№1)と見積依頼(№2)と試験片作成(№3)のお話をしました。
    今回は試験結果のお話をします。

     

    解説して下さいました

    初回納品から数ヶ月後、西村先生のご厚意で来社して試験結果の解説をして下さいました。
    試験片をお願いするからには内容を話して理解してもらった上で作ってもらった方がいい、という西村先生のお考えからでした。
    これは私たちとしましても大変ありがたいことでした。
    「いったいなんに使われるのか」「納品した試験片はどうなったのか」などやはり気にかかるものです。
    また内容をお話しいただくことでゴム屋なりのご提案もできるかもしれません。
    そういった意味でも詳細を教えていただくことはお互いにプラスであると考えています。

     

    おもしろい案件

    「おもしろい案件」について以前お話をしました。
    形状や材料もさることながら、それがいったい何に使われるのかというエッセンスも含まれます。
    私たちはゴム屋ですので、それ以外のことは一般知識程度にしかわかりません。
    お問い合わせいただくお客様は様々で、知らない分野がたくさんあります。
    じつはそういったお話を聞かせていただくことも「おもしろい案件」と感じる一因になります。
    社長の言う「おもしろいねー」「わくわくするねー」というコメントも、「こんな用途で使うらしいですよ」と報告するところから生まれます。
    特筆すべきはそういった案件を「これは無理だろう」ではなく「こりゃおもろそうだな」と入っていける社風にあると思います。

     

    試験結果

    さて、解説して下さった試験結果です。
    写真に載っているのがブリスタ現象です。
    試験片はφ29×t12.6の円筒ブロックで、材料はEPDMのカーボンブラックが入っている配合と入っていない配合です。
    そして上段が圧力10MPaの水素ガス中に曝露した後の状態、下段が圧力100MPaの水素ガス中に曝露した後の状態です。
    試験片は、高圧水素に曝露されると内部に水素の侵入を受けます。
    そのあと急速に大気圧まで減圧すると、写真に示したようにブリスタと呼ばれるゴムの破壊現象が起きます。

    bakuro.JPG   

    ブリスタ現象

    これを見るまでブリスタ現象というものを知りませんでした。
    それにゴムがこんな状態になるのも初めて見ました。
    私たちが普段目にするのは、油に膨れたり水でぼろぼろになったもので、ここまで破壊された状態は衝撃的でした。
    また、カーボンブラックが入っているEPDMと入っていないEPDMで破壊のされ方が違うのにもびっくりしました。

    ゴム屋としてはただただびっくりするだけですので、詳細は論文にまかせます。
    以下の参考文献を参照してください↓

    「10MPa水素ガス中で曝露したエチレンプロピレンゴムの水素侵入特性とブリスタ破壊に及ぼす充てん剤の影響」
    山辺 純一郎、中尾 匡利、藤原 広匡、西村 伸
    日本機械学会論文集 2008年7月号(第74巻第743号)A編 (材料力学、材料など) 971ページ

     

    解説を受けて

    さて、解説をしていただいた感想は、ただただびっくりするばかりでした。
    自分たちが納めた試験片がこういったことに使われていることへの驚きと、最先端の話への驚きとで、ただうなずくばかりでした。
    と同時に見たことも聞いたこともない話に、ずいぶん引き込まれました。
    そういった意味でもゴムの開発支援ということが私たちにはしっくりきます。

     

    ゴムの開発支援

    お問い合わせいただくお客様の内容は、私たちの知らない分野がほとんどです。
    これから開発しようというお話ですので、分からないことがほとんどといっていいくらいです。
    ですのでじっくりゆっくり話を聞きます。
    分からない単語も出てくるのでその都度聞いて解説してもらいます。
    そういった中でお客様の「つくりたい」を聞き出していきます。

     

    ゴムの提案型営業

    私たちの仕事はそのお客様の「つくりたい」を「カタチ」にすることです。
    お客様がその分野の専門家なら私たちはゴムの専門家です。
    私たちは聞き取りを元に、現実的で実現可能な方法を考えます。
    そして、可能な選択肢を提案します。
    これが私たちの提案型営業です。

     

    実は勉強させてもらっている

    かっこいいことを言っていますが、実は勉強させてもらっているんですね。
    こういうことを通じて見聞を広め、新しい分野を知り、知識を高めています。
    「おもしろい案件」で楽しい仕事をして勉強させてもらっています。
    ありがたいことです。

     

    次の案件

    九州大学水素利用技術研究センター様の水素曝露用試験片は、その後も続き今も(’09.4)お付き合いさせていただいております。
    次々に持ち込まれる「こんなことできませんか」という相談をいつも楽しみにしています。
    これまでに数十種類の材料、十数種類の形状、実に様々なものを作りました。
    残念ながらまだ公開されていないのでお話しすることはできませんが、いずれまたまとめてお話したいと思います。

    計4回にわたってお話ししました水素曝露試験片ゴム試験片はこれでひとまず終わりです。

    次回もお楽しみに。

     

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  • 2009年05月11日

    水素暴露試験用ゴム試験片の作成  №3 試験片製作

    営業部 齋藤

    お客様 : 九州大学水素利用技術研究センター 様
    キーワード : 配合 混練り 分出し 裁断 成形 仕上げ 検査 梱包 納品 ブリスタ破壊

    営業部の斉藤です。

    前回まで、問合せと見積依頼のお話をしました。
    今回は試験片製作のお話をします。

     

    正式注文がきた

    御見積書を提出して3週間後、正式注文が来ました。
    私たちとしましても注文書をいただかないと動けないので、心の準備はしといて今か今かと待っていました。
    私は営業なので、注文書を受け取ると「仕事をもらった!」と実感し、嬉しくなります。
    今回は試験片のボリュームとしては多いので、喜びはひとしおでした。

    製作依頼を出す

    わが社の場合、受注後の製作依頼は営業部の仕事です。
    製造部には成形の依頼、技術部には材料の依頼を出します。
    通常量産品の場合、製品の形状・材料は最初に登録するので、2回目からはお客様からご注文をいただくと決められた工程をふんで納品されます。
    それが試作品になると、一つ一つ指示を出さないといけません。

     

    技術部に材料の依頼

    今回の場合まず材料の手配を技術部に依頼しました。
    材料の配合は西村先生からの指定なので、配合表をそのまま技術部に送りました。
    全部で4種類なのでそれぞれに番号を振り、区別をしました。

     

    製造部に成形の依頼

    試験片は4種類なので、それぞれに成形依頼を出しました。
    ① 平角150㎜×150㎜×2㎜
    自社の金型があるのでそのまま製作依頼を出しました。
    ② ダンベル1号
    2㎜のシートから抜くので①と同じ依頼+ダンベル1号で抜く依頼を出しました。
    ③ 短冊2㎜×1㎜×60
    1㎜のシートからカットするので平角150㎜×150㎜×1㎜の製作依頼
    +2㎜×60㎜の加工依頼(こちらは外部に委託)を出しました。
    ④ φ29×t12.6
    厚さ20㎜くらいの方形もしくは円形ということでしたので、圧縮永久歪試験に使用するブロック(φ29×t12.6)を流用する取り決めになっていました。
    これも金型があるのでそのまま製作依頼を出しました。

    (左下図はダンベルを抜いている様子。右下図は短冊です。) dannberu.JPG

     

     いざ成形工程へ 



    koutei 2.JPG


    一安心

    納品が終わると一安心します。
    今回は初めてのことでもあるので納期は長い目にもらっていました。
    ですので余裕をもって納品することができました。

     

    勝手が違う

    とはいうものの、試験片を納めるということは通常の量産品の工程こそ同じでも内容は全く違うものでした。
    特に勝手が違ったのは検査工程でした。
    今回の成形品の形状はすべて技術部が物性試験に使用するものばかりでした。
    日頃は技術部で成形し物性試験をするので、製造部には流れてこない形状です。
    つまり、製造部の工程でそのような形状が流れてくることが初めてだったわけです。
    しかも部品としてではなく試験をするためのテストピースなので、完成品のタイプが全く変わってきます。

     

    サンプル送って確認してもらいました

    引張試験に用いるダンベルや、短冊についてはシートからの加工であり、JIS規格もあるので、問題はありませんでした。
    ところが平角や円柱ブロックについてはどのように使うか把握していませんでした。
    配合によっては伸びが悪く、どうしても端が欠けたりしました。
    そこでサンプルを送って「こんな感じになるんですけど…」とおそるおそる確認を取ったりしていました。
    聞いてみると、試験片への加工前の段階の素材としての成形品で、そのままシールするわけではので、ものによっては多少にカケは構わないし寸法公差もありません、ということでした。
    通常量産品の基準で見てみると(形状はシールできるものではありませんが)とてもパスできるようなものではないので、初めのころは戸惑いましたし現場の検査班は心配そうな顔をしていました。
    配合が特殊であることや、最終的な仕上げはお客様(九州大学)で実施すること、比較という観点から成形条件を揃える必要があること、などの理由で試験に影響のない程度で認めてもらいました。

     

    その後試験結果は論文で発表されました。
    西村先生はわざわざこちらに足を運んで来られて、解説もしていただきました。
    そこではじめて「ブリスタ破壊」の試験片を目にしてびっくりすることになります。

    そのあたりは次回に。

    ではまた。

     

  • 2009年04月27日

    水素暴露試験用ゴム試験片の作成  №2 見積依頼

    営業部 齋藤

    お客様 : 九州大学水素利用技術研究センター 様
    キーワード : ダンベル 配合 提案型営業

    営業部の斉藤です。

    前回は西村先生からのファーストコンタクトの話をしました。
    今回は見積依頼の話をします。

     

    久しぶりに連絡が来た

    前回電話を切ってからというもの「いつになったら連絡がくるかなー」とどきどきしながら待っていましたが、1週間後メールで見積依頼が来ました。
    内容は、
    sikennhenn 2.JPGのサムネール画像材料が4種類
    ① NBRカーボンブラックなし
    ② NBRカーボンブラックあり
    ③ EPDMカーボンブラックなし
    ④ EPDMカーボンブラックあり

    これら4種類の材料それぞれに試験片を4種類
    ① 平角150㎜×150㎜×2㎜
    ダンベル1号
    ③ 短冊2㎜×1㎜×60㎜
    ④ 厚さ20㎜程度の方形もしくは円形
    というものでした。

     

    配合について

    前回お話しませんでしたが、配合についてはIMG_8479.JPG
    ファーストコンタクトの時にある程度打ち合わせはしてありました。
    私たちは材料を命とするゴム屋ですから、配合内容を教えるわけには
    いきません。

    西村先生はその点をよく理解されておられて、
    「当然公開できないでしょうし、独自の配合を聞くつもりもありません」
     と配慮していただいたことを覚えています。

    ゴム屋に配合を聞くということは、鰻屋に秘伝のタレを聞くようなもので、
    「そんなもん教えられますかいな」といわれるのがオチなのです。

    西村先生からの提案は、ゴムの本に載っているような基本的な配合でいいというものでした。
    それでも疑り深い私たちは、配合をすべて指定してほしいというお願いをしました。
    なぜなら私たちが使っているポリマーの種類、カーボンの種類、使う薬品、などすべてがノウハウの固まりだからです。

    結局西村先生の方より希望の配合をお伺いして、それに私たちから対応できるものは流用し、できないものは購入する、という形をとりました。

     

    いい関係

    この案件は大学の研究なので、論文として公開される、ということが前提でした。
    したがって、閉鎖的といわれるゴム業界においてどこまでオープンにしてよいものやら戸惑いました。
    西村先生はそのあたりを十分考慮されていて、
    どうしたら私たちが対応しやすいか最初から気遣ってくださいました。
    この点はとてもありがたかったです。
    ですから私たちもどういう方法が一番いいのか考えることができましたし、気軽にご提案もできました。

    売り手である私の方から申し上げるのもなんですが、いい関係ができつつあるなと思いました。
    問い合わせの対応をしていると日々新しいお客様とお話をしますが、
    いい仕事というのは内容ではなく、人と人との関係だとつくづく感じます。

     

    調整大変でした

    きれいごとを言っていますが、実際の調整は大変でした。
    薬品の種類、カーボンの種類、試験片の形状・・・など。
    当時の記録を見ると電話とメールが入り乱れていました。
    まあ私がこういうことに慣れていなかったのが一番の原因かもしれませんが・・・。
    幸い、西村先生がこちらのやりやすいようにしてくださいとおっしゃってくださったので、
    すんなりと配合を決めることができました。

     

    詳細を聞く

    お恥ずかしい話ですが、最初の電話の時にこの試験片の目的を聞いていませんでした。
    応対するのが精いっぱいでそんな余裕もなかったんだと思います。
    御見積りを出すにあたって、「で、なんに使うんですか?」と聞いたくらいです。
    今では使用環境や目的を尋ねるようにしています。
    もちろん機密事項もあるでしょうからできる範囲でいいのですが、
    教えていただいた方が私たちからの提案もできますし、仕事はやりやすくなります。
    実はそこに私たちの特徴があります。

     

    提案型営業IMG_8903.JPGのサムネール画像

    いっしょに考え最適な方法を提案するというスタイル、
    つまり提案型営業です。
    多くのお客様は「ゴムのことはよくわからない」とおっしゃいます。
    西村先生も設備一式を揃えて自分でやってみようと検討された
    ということでした。ですがその道のりを考えると、「ゴムの研究」より「ゴムを作る研究」から始めないといけないので断念したそうです。

    初回の「おもしろい案件」でもお話ししましたが、入社数年の私ではとても知識が追い付きませんが、創業61年(おかげさまで4月10日に迎えました)の経験はちょっと他ではないものと自負しております。

     

    御見積り

    さて詳細はというと、この試験片を水素中に入れてどう変化するか見るのだそうです。
    それがいったいどういうものか想像もつかなかったので、その時は「あーそーですか」
    と返事するくらいしかできませんでした。
    結果はゴムが見たこともないような変化を起こすのですが、それは別の回にお話しします。
    とりあえずは予定通り、御見積りを提出しました。

    3週間後に注文がきて試験片製作に取り掛かることになります。
    そのあたりは次回に。

    ではまた。

     

  • 2009年04月13日

    おもしろい案件

    営業部  齋藤

    営業部の斉藤です。CIMG1588.JPG

     
     Web担当になってもうすぐ2年。

    どんな問合せにも緊張せずに対応できるようになってきました。

    さて個人的にですが「おもしろい案件」と呼ぶものがあります。

    自分の基準で決めているのでほんとに感覚的なものです。

    図面を見た瞬間に思うこともありますし、

    話を聞いているうちに「こりゃおもろいな」と思うこともあります。

     

    こういう案件はたいがい「他で断られた」とか「話すら聞いてもらえなかった」といったものが多く、

    要するにあまり前例がなく、形にするには難しいものがほとんどです。

    実際のところ見たことも聞いたこともない内容なので

    「ほんまにできるんかいな」と思ったりもしますが、

    それを「どないやったらできるやろか」考えるのがおもしろいのです。

    ですから「おもしろい案件」と呼んでいます。

     

    これは初めてお問い合わせいただくお客様だけでなく、

    昔からお取引きのあるお客様の場合でも同じです。

    営業になってもうすぐ4年になりますがやっとこの感覚が分かるようになってきました。

    というのも社長がいつも

    「おもしろいね~」

    「わくわくするね~」

    と口癖のように言っていることが大きいと思います。

    いろんな問い合わせが来るたんびにそんなことを言っています。

    そんな社長ですのでおもしろい案件は「やってみよやってみよ」といつも乗り気です。

    普通なら断ってもおかしくない案件だと思いますが、

    社長の方針がこうなので前向きに検討していくことができています。

     

    さて、その「おもしろい案件」をどうやって解決していくかというと、

    私ひとりではとうてい分からないのでまわりに聞きまくります。

    会社の営業部・製造部・技術部にはベテラン選手がたくさんいて、あれこれアドバイスがもらえます。

    それをかき集めて足して割っていいとこどりをするんですね。

    そうするとおもしろいことに答えが見えてくるんです。

    それをお客さんに提案します。

     

    つまり、私は営業なので窓口ですが、提案は高石工業61年の知識と経験からきているわけです。

    これまでの経験から ”どうやったら形にできるのか” ということを考え、

    また ”お客様にとってどういう進め方が喜ばれるのか” あらゆる選択肢を探り提案します。

    それが私たちの「おもしろい案件」に対する姿勢です。

    「冷たくあしらわれるんじゃないか」とか「無下に断られるんじゃないか」といった心配はご無用です。

    研究者のみなさん、開発担当者のみなさん、

    「おもしろい案件」お待ちしております。

     

    お問合せはこちら

     

    次回からは私たちが「おもしろい案件」に対しどういう対応をしているか、

    事例を通して紹介していきます。

     

     

     

    カテゴリー:その他
  • 2009年03月31日

    4月13日から新しいブログ「伸縮自在」が始まります!

    社長ブログ、のびのびブログに続く第3のブログが4月13日月曜日から始まります。
    タイトルは、「高石工業研究開発型ブログ 伸縮自在」。
    ゴムが自由に伸び縮みするように、私たちも自由なやわらかい発想で仕事に取り組んでいこう
    との想いから名付けました。
    取り上げる主な内容は、当社の「研究・開発への取り組みの様子」です。
    私たちの研究・開発に臨む姿勢や考え、あるいはそこから得られた成果、
    また営業部サイドからみた研究・開発とは何か、といったことを技術部と営業部の4人が
    週代わりでお伝えしていきます。
    更新は毎週月曜日の朝9:00。
    毎日、試行錯誤しながら前進し続ける私たちの新しいブログにご期待ください!

    カテゴリー:その他
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