ゴムの選定は、パズルに似ています。一つ条件を見落とすだけで、シールができなくなることがあります。
「今こそ心に留めるべき2つの教訓」から、材料選定の真髄を紹介します。
1. スペースシャトルの悲劇が教える「環境条件」の罠
高性能なゴムほど、あらゆる環境で完璧だと思われがちですが、それは大きな誤解です。
フッ素ゴムの意外な弱点:
耐熱性や耐薬品性に極めて優れた「フッ素ゴム」も、実は低温下では柔軟性を失い、シール性を損なうという特性があります。
歴史的教訓(チャレンジャー号の事故):
古い話ですが、1986年1月28日、アメリカ合衆国のスペースシャトル「チャレンジャー」が打ち上げ直後に空中分解し、7名の乗組員が全員死亡するという事故が起こりました。
1986年のスペースシャトル事故の一因は、異常な寒さによってOリングが硬化し、本来のシール機能を果たせなかったことにあります。どれほど高価で高性能な材質でも、その時の「使用環境」に適していなければ、致命的な故障を招きます。
鉄則: カタログスペックの「最高値」だけでなく、使用現場の「温度範囲」や「流体」「圧力」、「実際的な使用環境」を必ず網羅してください。
2. 「相性」の見落とし:EPDMとオイルのミスマッチ
「このゴムは強いから大丈夫」という過信が、予期せぬ「膨潤(ふくらみ)」を引き起こします。
EPDMの落とし穴:
耐候性や耐熱水性に優れ、幅広く使われるEPDM(エチレンプロピレンゴム)。しかし、「油」には非常に弱いという性質を持っています。
現場で起きたトラブル:
あるケースでは、潤滑のために塗布したシリコングリスに含まれるオイル成分によって、EPDMが膨潤してしまいました。「少しの油なら大丈夫だろう」という油断が、寸法変化や強度低下を招き、漏れの原因となります。
鉄則:ゴム単体の性能だけでなく、「接触するグリス、洗浄液、あるいは雰囲気中の油分」との化学的相性を徹底的に検証してください。
まとめ:失敗しない選定のために
これら2つの記事が示しているのは、「ゴムは、置かれた環境との対話によって性能が決まる」ということです。
・温度や圧力の全領域をカバーしているか?
・接触するすべての物質(油、薬品)を把握しているか?
設計段階でこの2点を自問自答することが、製品の信頼性を守る第一歩となります。
お困り事があれば、お気軽に高石工業までご相談ください!






