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高石工業株式会社 伸縮自在ブログ ゴムの研究・開発・試作 「自己潤滑性があるゴム材料の性能評価」(1)
2025年5月09日

「自己潤滑性があるゴム材料の性能評価」(1)

高石工業は「水・ガス・空気」をシールさせるゴムのパッキン、Oリングを77年製造しています。材料の配合から製品の製造、出荷まですべてを国内およびベトナムの自社工場で管理しており、各物理試験を行う試験設備を取り揃えています。ゴムと金具を焼き付ける焼付け品の製造も得意としています。

 

 

このような経験を生かして、お客様のニーズに応える形でOリングなどのゴムシール材の摩擦低減のため、自己潤滑性があるゴム材料を自社材料開発して、いろいろな機器で採用いただいています。

 

 

 

 

 

【開発の経緯と想定される用途について】

 

 

ゴムはもともと柔軟性がある一方、「固着しやすいモノ」であるのが一つの欠点と言えます。「金属や樹脂のパーツにゴムのリングを嵌めて組み立てたが、数日放っておくとゴムが固着してしまい、外す時やばらす時にとても硬くなった。」というお話しをお客様より聞くことがあります。

 

 

 

水栓機器や浄水器などの水まわり品、ガスのコック、各種バルブなど様々な分野でゴムの固着の問題は悩みの種で、切っても切り離せないものです。

 

 

メジャーな解決方法としてコーティングや表面の化学処理、グリスを塗布するという方法がありますが、コーティングは経時変化があり、使っているうちにはがれるという声があります。また、化学処理は処理作業的・環境負荷的に好ましくなく、グリスを塗布する方法は使用時間とともにグリスが流れ出て効果が半減するのと、塗布・組立時に手が汚れるという欠点があります。

 

 

 

そこで自社開発したのが、自己潤滑性ゴム「SPラバー」です。

 

簡単に言えば、「摺動抵抗が少なく」「固着しにくい」ゴムです。SPラバーは基材となるゴム材料に滑材を配合し、自己潤滑性を持たせた弊社独自のゴム材料です。配合した滑材がゴムの中から表面ににじみ出る(ブルームする)ことで、表面になめらかな効果をもたらします。

 

 

私たちは滑材とゴム基材との相性、シール性能の担保、加硫条件を考えて研究を行い、配合を開発しました。

 

 

 

 

 

 

このSPラバーは一般的にシール材としてよく用いられる材料種であるNBR (耐油性・耐ガス性)・EPDM(耐水性)・FKM(耐熱・耐薬品性)について対応しています。

 

このSPラバーには3種類あり、わが社ではNBRベースのものを「NSPラバー」、EPDMベースのものを「ESPラバー」、フッ素ゴム(FKM)ベースのものを「FSPラバー」と呼んでいます。

 

 

 

想定される使用場所としては、例えばカートリッジやケースなど定期的に交換が発生する部分、あるいはバルブ・水抜き栓のように季節によって使用頻度が大きく異なる部分などが考えられます。これらの箇所にSPラバーを使用することで、その効果を十分体感できると想定しています。

 

 

 

 

【思わぬ使い方も・・・】

 

 

また、この「摺動抵抗が少ない」「固着しにくい」という性質は、他の可能性も生みだしました。

 

それは摺動抵抗が小さいため、製品組立時に潤滑剤なしでも製品に組み込めるというメリットです。

 

 

 

組立時にグリスや石けん水等をつけている箇所の代替品としてもSPラバーは効果を発揮します。潤滑剤が不要であることによって、作業者の手間の削減、コストの削減、製品は汚れ防止、塗り過ぎもなくなるなど、多くのメリットが見出されました。

 

 

 

欠点としては滑材ブルームの関係上、高速回転する摺動部での使用には向いておらず、ゴム表面の摩耗ですべり効果が半減することです。

 

「時々手動で開け閉めする」「月に数回着脱する」ような場所であれば大変すばらしい効果を発揮します。

 

 

 

 

ご興味があれば、ぜひ一度お問い合わせください。

 

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