ゴムの加硫とは分子を科学的に結合させて、網状構造を作る事です。
加硫をする事でゴムの分子間に強固な結合が得られ
弾性や引っ張り強さが増大します。
加硫する前の未加硫ゴムは、チューインガムのように伸び
元には戻りませんが、加硫後のゴムは強固に結合されており
元に戻ろうとします。
未加硫から加硫終了までの過程を確認し
材料に間違いがないかを確認するのが加硫試験です。
弊社はゴム練り毎に加硫試験を行い、品質管理に役立てています。
使用する試験装置はキュラストメーターです。
この装置はゴムの試験片に一定温度、一定圧力でねじり振動を加え
試験片を介して受ける力(トルク)を測定し
配合ゴムの加硫特性を測定する試験装置です。
この装置を使って、未加硫から加硫終了までの過程を表した曲線
「加硫曲線」を求める事が出来ます。
それでは試験を見ていきましょう。
まずはキュラストメーター内、上下2個のダイス間に試料を入れます。
下ダイスを動かして試料にねじり振動を与えます。
上ダイスに伝わるトルクを記録し「加硫曲線」を得ます。
先程見て頂いた加硫曲線をもう一度ご覧下さい。
一番右端の曲線の形状が他の3つと明らかに異なっています。
左から1~3番目までの加硫曲線は
全く同じ配合のゴムを試験したものです。
一番右端だけ、ある薬品量だけを変えた配合のゴムで試験しました。
この様に配合する薬品量が変わっただけで
加硫曲線は大きく違ってきます。
もし配合する薬品の種類や量を間違えていても
加硫曲線の形状が異なるので気付く事が出来ます。
又この曲線からは加硫が進むスピードや
適正な加硫時間の目安などの情報も得ることができ
初めて配合したゴム材料の加硫条件を決める際にも使用します。
先日、新たなキュラストメーターを購入しました。
今まで使用していたキュラストメーターは
合否を判定する為に、加硫曲線のある部分の長さの測定などの
準備作業が必要で、その作業を技術部員が実施していました。
新しいキュラストメーターは
技術部員が実施していた準備作業なしに
合否判定することができます。
使いこなせれば、加硫試験に要する時間が短縮されるので
大きな戦力となりそうです。
以上 ゴムの加硫試験の紹介でした。