前回に引き続き、ゴムの物理試験についてお伝えします。
今回のテーマは「IRHDの測定」についてです。
IRHDとは
国際ゴム硬度International Rubber Hardness Degreesの略称です。
IRHDを測定する事で加硫ゴムが規格の硬さを満たしているかを判断します。
デュロメーターでの硬度測定は手動で行いますが
IRHDの測定は写真の機械を用いて行います。
英国ウォーレス社製。
軽自動車が一台買える位の値段だそうです。
気が小さいので、扱う際はやや緊張してしまいます。
試験片に対し、針を垂直に一定の力で押し込みます。
針を押し込んだ時の押し込み深さから値を求めます。
まずは厚み2mmの試験片をこのようにセットします。
(写真は3号ダンベル片を使用しています)
あとはボタンを押すだけ。
結果は自動でプリントアウトされます。
弊社では3つの試験片を測定した中央値を採用しています。
手順や操作はいたって簡単ですが油断大敵。
以前の測定結果と私の測定した結果を見比べてみると…
私の測定した結果の方が
かなり硬度が低いではありませんか!
結構大きな差が出ています。
なぜ私が測った時だけそうなるの?
技術室には魔物が棲んでいるのでしょうか?
いつものように技術部のメンバーにヒントを求めると
「魔物なんか棲んでませんよ。試験片の端の方を良く見てください。
何か気づきませんか?」
よく見てみると…「あっ、浮いている。」
試験片の端が浮いているではありませんか。
試験片を作成する時に曲がってしまい
元に直さずにセットするとそうなるそうです。
硬度が高めの材料だと特になり易く
そのまま測ると硬度は低く出てしまうのです。
うーん。やはり奥が深い。
簡単に見える作業ほど気をつけなくては…
次回に続きます。