伸縮自在ブログ伸縮自在ブログ
高石工業株式会社 伸縮自在ブログ その他 高石工業のゴムの引張試験 その4 引裂試験について
2010年10月20日

高石工業のゴムの引張試験 その4 引裂試験について

キーワード:引裂試験

技術部の高橋です。
前回は、永久伸び試験についてのお話でした。今回は、高石工業で行っている引裂試験
についてのお話です。

1. 引裂試験とは
引裂試験は加硫ゴムの引裂き強度を調べる試験で、規定した打抜き型で打ち抜いた試験片を
引裂くのに要する力の最大値または中央値を求めます。
測定は、つかみ具の移動速度が一定の引張試験機を用いて行わなければいけないので、
高石工業ではこの試験もオートグラフを使用して行っています。
試験片には、切込みなし試験片、切込みあり試験片および中心に切込みの入った小さな試験片があり、試験片の種類が異なると引裂き強さの値の直接比較はできません。

sya0125.JPG

 

2.試験片について
試験片の種類は、切込みなしアングル形試験片、切込みありアングル形試験片、クレセント形試験片、トラウザ形試験片、デルフト形試験片の5種類があり、高石工業で使用している試験片は切込みなしアングル形試験片です。
試験片の数は、アングル形試験片、クレセント形試験片、トラウザ形試験片の場合、同一方向で5個以上、できれば方向を変えて5個以上ずつ、デルフト形試験片の場合、同一方向で3個、
望ましくは方向を変えて3個ずつとなっています。
方向を変える理由は、引裂き強さは特に列理の方向に影響されやすいので、列理の方向に対し直角および平行で試験片を採取したほうが好ましいからです。
各試験片の解説を下記に記載します。
切込みありアングル形試験片:内角頂点の所に試験片面と直角方向に長さ1.0mm±0.2mmの切込みを入れた試験片。
クレセント形試験片:くぼみの中央に試験片面と直角方向に長さ1.0mm±0.2mmの切込みを入れた試験片。
トラウザ形試験片:短辺部の中央に長辺部と平行に40mm±5mmの切込みを入れた試験片。
デルフト形試験片:長辺部と短辺部の中心に、短辺部と平行に5.0mm±0.1mmの切込みを
入れた試験片。

sya2150.JPG
sya2265.JPG
3.試験方法について
試験片の厚さの測定は、引裂き付近の少なくとも3か所以上で行い、その中央値を試験片の
厚さとします。
また、各試験片のつかみ具の移動速度は、次のようになります。
 切込みなしアングル形試験片:500mm/min±50mm/min
 切込みありアングル形試験片:500mm/min±50mm/min
 クレセント形試験片    :500mm/min±50mm/min
 トラウザ形試験片     :100mm/min±10mm/min
 デルフト形試験片     :500mm/min±50mm/min

4.引裂き強さの求め方について
切込みなしアングル形試験片、切込みありアングル形試験片、クレセント形試験片、トラウザ形
試験片の引裂強さは次の式で求めます。
  TR=F/t
  ここに、TR:引裂強さ(kN/m)
       F:切込みなしアングル形試験片、切込みありアングル形試験片、クレセント形
                 試験片の場合は、引き裂く力の最大値(N)
         トラウザ形試験片の場合は、引き裂く力の中央値(N)
        t:試験片の厚さ(mm)

デルフト形試験片の引裂強さは次の式で求めます。
  F0=8F/bt
  ここに、F0:引裂強さ(N)
       F:引き裂く力の最大値(N)
        b:切込み外側の全幅(mm)
       t:試験片の厚さ(mm)

引裂試験についてのお話は以上です。
これで高石工業のゴムの引張試験についてのお話は終わりです。

ページの先頭へ