キーワード:ダンベル状試験片、永久伸び試験
技術部の高橋です。
前回は、剛板とゴムの接着はく離試験についてのお話でした。今回は、高石工業で行って
いる永久伸び試験についてのお話です。
1. 永久伸び試験とは
永久伸び試験は、加硫ゴムを一定の長さに引張り、一定時間保持したのち、
はね返させることなく急に収縮させ、一定時間後の残留伸びを測定する試験です。
試験片は1号形ダンベル状試験片を用い、試験片には伸び測定用の標線を付け(写真参照)、
この部分を規定された長さに伸ばして収縮後の永久伸びを測定します。
2.試験装置について
永久伸び試験は、試験片を一様の速さで引張り、一定の長さで一定時間保持することのできる
装置を用いて行わなければいけません。
ですから、この試験もダンベル状試験片の引張試験などを行っているオートグラフを用いて行って
います。
3.試験方法について
試験片をオートグラフにセットして、あらかじめ試験片に付けておいた伸び測定用の標線
を規定された長さまで伸ばした後、10分間その長さを保持します。
規定された長さとは、常態試験の伸び(%)の約1/2に相当する長さと決まっています。
例えば、常態試験の伸びが500(%)の場合、1号形ダンベル状試験片の標線距離は40(mm)
なので、次式(常態試験の伸びの計算式)より規定された長さLxは、{(Lx-40)/40}×100=500×1/2Lx=140となり、この場合は標線間を140mm伸ばすことになります。
そして、10分間保持したのち、収縮させてから10分後の標線距離を測定して永久伸びを求めます。
4.永久伸びの求め方について
この試験は原則として2個の試験片で行うため、2個の永久伸びの平均値をその加硫ゴムの
永久伸びとします。
永久伸びは、次の式によって計算します。
PS=(l1-L0/L0)×100
ここに、PS:永久伸び(%)
L0:標線距離(mm)
l1:収縮させ規定時間放置後の標線間の長さ(mm)
例えば、2個の試験片でl1が43(mm)と44(mm)だった場合、それぞれのPSは7.5(%)、
10(%)となり、この場合のPSは2個の平均値で9(%)となります。
永久伸び試験についてのお話は以上です。
次回は引裂き試験についてのお話です。