キーワード:ダンベル状試験片、引張試験、引張強さ、引張応力、伸び
技術部の高橋です。
前回までは、ゴムの硬さ測定についてのお話でした。今回から高石工業で行っているゴムの引張試験についてのお話です。
1.ダンベル状試験片とは
ダンベル状試験片とは、加硫ゴムの引張特性を求めるときに使用する試験片のことで、
1号形~8号形までの8種類の形状があります。高石工業には1号形と3号形の打抜き
刃型があり、引張試験には3号形を用いています。
試験片の作製はゴムシート(150×150×2)から打抜き刃によって作製しています。
下図は各ダンベル状試験片の大きさと形状です。(2009年版JISハンドブックより抜粋)
2.引張試験について
引張試験とは、試験片を一定の速度で引張り
引張強さ,引張応力,伸び などを測定する試験です。試験方法は、
通常ダンベル状に打ち抜いた試験片をチャック等で挟み、一方をロードセルに掛けもう一方を一定速度で引張る方法がとられます。
高石工業の引張試験もオートグラフという引張試験機にて上記の方法で行っています。基本的に試験片の数は3個で、3個引張ったときの中央値をそのゴムの特性としています。
下記は、引張強さ,引張応力,伸び の用語解説です。
引張強さ:試験片を破断するまで引っ張ったときの力。
カーボンブラック、シリカなどの補強剤を配合することにより向上できるが、
ゴムの種類によって向上効果の大きさは異なる。
例えば、NRやCRのような伸長結晶性を示すゴムは、結晶部分が補強剤の
働きを果たすためカーボンブラックによる引張強さの向上効果は小さいが、
SBRやNBRのような非結晶性ゴムでは向上効果は大きい。
引張応力:試験片を引っ張るのに要する力。
特にもとの長さの2倍の長さに引張伸ばしたときの応力を100%応力という。
伸び:破断時の試験片の伸び。
試験片の伸びは、標線間の伸びを(光学的に)読み取る方法で行われることが多く、
標線間が2倍のびたときの伸びは100%になります。(下図参照)
ダンベル状試験片の引張試験については以上です。
次回は接着性の求め方についてのお話です。