キーワード:未加硫ゴム,加硫ゴム,成形温度,成形条件,ゴム分子間,弾性,引張強さ
NBR,耐薬品性,加硫,架橋,網状構造
技術部の松井です。
前回は弊社で使用している原料ゴムの紹介をしました。
そのときに『加硫したゴムと加硫していないゴムの違いって目で見てわかるにはどうしたらいいだろう?』と考え、単純かつ簡単に調べてみました。今回はその紹介をします。
4.加硫したゴムと加硫していないゴム
まずは引っ張ってみました。(両試料はおよそ100㎜×10㎜×2㎜を使用)
①同じように力をかけて引っ張れるように治具につけて伸ばしました。
②治具をいっぱいまでのばしたあと、固定していた片方をはずすと
③未加硫ゴムは変形したままなのに対し、加硫ゴムはほぼ元の状態に戻りました。
④未加硫ゴムはまだまだ伸びそうなので、手で引っ張り続けると…
ブツブツと切れてしまいます。
成形することによりゴム分子間に強固な結合が作られた。
また、弾性,引張強さを増大させる変化が生じた。
次にNBR(アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム)を溶剤(MEK:メチルエチルケトン)に浸漬してみました。(NBRはMEKに弱くかなり影響されます。)
(両試料はおよそ20㎜×20㎜×2㎜を使用)
(下の写真参照)
1日放置後…
溶剤の色は両方とも黄色に変化しました。ゴム中の薬品が溶け出していると考えられます。
左の未加硫ゴムは膨潤しさわると脆くボロボロの状態になりました。
右の加硫ゴムは膨潤していますがさわっても脆くはありません。
成形することによりゴム分子間に強固な結合が作られた。
また、耐薬品性を増大させる変化が生じた。
上記の配合もそうですが、成形温度や成形条件もゴムの種類や特徴により変わるものなので、それぞれゴム屋さんによって違ってくるものです。→極秘情報となります。
※ 加硫の『硫』は『硫黄』のこと。最近では硫黄以外のものでも加硫される合成ゴムが多いので、架橋や橋かけともいわれている。
※ 架橋=橋かけ:線状重合体の分子相互間を化学的に結合させて網状構造をつくること。
以上、製品になる前のゴム情報でした。