伸縮自在ブログ伸縮自在ブログ
2009年7月06日

EPDMの耐塩素効果について №3

キーワード:原料ゴム(ポリマー)、耐薬品性、次亜塩素酸ナトリウム、配合設計、
      
老化防止剤、充填剤、シリカ

技術部の高橋です。

前回まではEPDMが水道用シール材として使われる理由と次亜塩素酸ナトリウムによる
劣化メカニズム、弊社EPDM材料の耐塩素水試験方法及びその結果を報告しました。
今回は塩素対策のまとめを報告します。又、参考程度に耐塩素効果に関連した試験について
簡単に報告します。

5.耐塩素水性を有する配合設計

①原料ゴム(ポリマー)の検討
耐水性、耐薬品性に優れるポリマーが好ましい。
候補として表1よりEPDM、FKM、VMQが挙げられるが、原料コスト、配合設計の自由度
老化防止剤充填剤の添加など)からEPDMがベストであると判断できる。

 

si-ru gomuzairyou.JPG②硬さの検討
 表2、3の結果より硬さが高いほど塩素の浸透を防ぐことに効果的であることがわかり
 ます。硬さは使用時の性能を損なわない範囲で高めに設定することが有効であると判断
 できる。

③充填剤の検討
 一般的に水道水による劣化は吸水に伴う塩素の浸透が原因であることから、吸水性の低い
 充填剤がよいとされています。その充填剤として挙げられるのがサーマルブラック(MTカーボン、
 FTカーボン)です。

サーマルブラックは補強性には劣りますが、活性点(炭素が塩素と結びつきやすい点)
がほとんどないので、塩素の誘引性が低いのです。
また、表2、3の結果よりシリカも効果的であることがわかります。
以上より充填剤はサーマルブラックもしくはシリカが有効であると判断できる。

【サーマルブラック】
  天然ガスまたはコークス炉ガスを熱分解して製造されるカーボンブラックのこと。
  FEFカーボンやSRFカーボンと同じソフトカーボンに分類される。

 

6.塩素対策のまとめ

以上、弊社EPDM材料での試験結果を踏まえた耐塩素水性を有する配合設計について
述べてきましたが、まとめると次のようになります。

① 原料ゴム:耐水性、耐薬品性を有するEPDM
② 硬さ:高硬度であるほど質量変化率、体積変化率の増加を抑制し塩素の浸透を防ぐ
③ 充填剤:補強性には劣るものの吸水性の低いFTカーボンもしくはシリカ

以上で「EPDMの耐塩素効果について」の報告は終わりです。

 

ページの先頭へ